健康太一ミニコラム:2018年秋号2
今回は、身心の緊張を解きほぐし、気血の流れをよくすると、若返って肌艶がよくなるというお話です。日々の健康づくりのお役に立てれば幸いです
29 気血の流れがよくなり20代に若返り!?
整体の仕事をして感じるのは、施術中にグーグー、スヤスヤと眠る人の多いこと。
8割近くがそうでしょうか。これは、身心に潜む緊張が解け、副交感神経が働き、気持ちがよくなったためでしょう。
印象深かったのは、腰が痛くてほとんど眠れないという方や、不眠症で困っているという方が、同じように施術の途中からいびきをかいてお眠りになり、施療も終わりかけようかというときに、「アレ、私、寝てました?」と、半ば意外そうにおっしゃっていたことです。
あるいは、これは40代の女性の例なのですが、お顔の肌艶が20代並によくなり、「あ~、体の芯からすっきりした」と言って目覚め、さらに、体を動かして、「わぁ~、随分、楽! 全然、違う」 と、おっしゃっていたこともあります。
「あるいはまた、小顔になった!」と言って、喜ばれる方も……。
整体もサークル活動も同じことをしている!
以上は整体の施術での体験談ですが、実は、ニコニコ太一気功サークルの活動でやっていることも、していることの基本は、何ら変わりはありません。
やっていることの大半は、体や心に潜む緊張を取り除き、関節、筋肉が滑らかに伸びやかに動くようにし、不活性、アンバランスを正し整え、そして五臓を元気にし、体中の気血の流れをよくすることです。
この点について、もう少し噛み砕いて述べてみることにしましょう。
その前に、まず、気ということ、それから、気血循環の大切さ、天寿を全うするということ、については、下記別稿のそれぞれのテーマに関連する形で述べていますので、多少読みにくい点もあるかもしれませんが、こちらを見ていただければと思います。
⇒ 五十肩で日常生活にも困っている……(続続) 記事中の<考察>の部分
整体で全身の気血循環をよくする
さて、このように健康や養生にとって重要な気血循環ですが、当然、整体の現場にあっても、気血が体内を適切に流れているかどうかを推し量ることは、施療する際の重要なワン・ステップとなります。
たとえば、図は胃経絡の気の流れを表したものです。これを見ていただければおわかりのように、気は、目の下から顔、頸、お腹、鼠径部、大腿、を通って、足の指先まで達しています。
したがって、目の下を軽く押さえて、もし多少なりとも痛みを感じるようなときは、それは単に目やその周辺部位の問題だけではなく、腹部の問題であったり、股関節や脚の問題であったりもする可能性があります。
事実、目の下の痛み(ここには承泣、四白といった胃経絡のツボがあります)が、お腹の天枢や脚の三里、足の指先の厲兌といったツボを刺激調整することで、スーと、消えたりすることが、結構あります。
これは胃経絡での話ですが、体にはこのほか、肺経絡や脾経絡、心経絡、膀胱経絡…といったように、(ちょっと専門的になりますが、肺大腸経、脾胃経、腎膀胱経といったように陰陽、表裏の関係をもつ)正経だけで12、(正経のような表裏の関係をもたない督脈、任脈、衝脈、帯脈といった)奇経が8、さらには経別、経筋、絡脈といったような流れもあって、それこそ縦横無尽に私たちの体を巡り、ネットワークして、健康、生命を支えてくれているのです。
心が落ち着き、肌艶がよくなるのにもワケがある
したがって、施療にあたっては、今も述べたように、こうした気の流れが順調であるかどうかをみることが、なりより重要となります。そして、もし、流れの悪い箇所や問題があれば、それを適切な整体手技や補瀉等の調整手段をもって正常に正していくわけです。
関節や筋肉にかなり強度のコワバリや偏りがあれば、気血の流れがその分制限を受けることになりがちですから、そういう部位に関しては、滑らかに伸びやかに動くようにやさしくほぐしていく必要もでてきます。
お腹にホツレやモツレ、ツマリのような類があれば、それを気功的にほぐし調整していくこともしなければなりません。
また、東洋医学では、喜怒哀楽や悲しみ、恐れ、驚きといった感情は、それぞれに関係する気が頭に昇り顔に表れるとされますから、そうした感情の高ぶりを収める意味でも、お顔の気功整体的な施術が欠かせません。
頭部についていえば、頭の骨は、数え方にもよりますが23個の骨が複雑に縫合されてできており、その縫合部位がなんらかの理由で緊張してきつくなったりすると、心や体に様々な影響を及ぼすといわれます。
たとえば、前頭骨の部分にそうしたことがあると、情緒不安定になったり、悩み事に対し理知的な判断が困難になるとされます。
あるいは、後頭骨と側頭骨乳様突起の間にある頚静脈孔には、前部を迷走神経、副神経、舌咽神経という3本の重要な脳神経が通っており、この部分が圧迫されると、肺や心臓、内臓に影響を及ぼしたり、頸や肩凝り、舌や咽頭の知覚や運動に影響を与えたりするとされます。また、後部を走る内頚静脈が圧迫されたり、流れが悪くなると、脳圧が高まり、頭痛やめまい、心臓の高鳴りなどの症状につながる可能性があるともいわれます。
場合によれば、こうした点にも十分配慮して、手技療法を加えることも必要になります。
ですから、そんなこんなの施術をした結果として、確かに肌艶がよくなったり、ときにはっきりとした若返り効果のあることも実感しているわけです。
以上は、定期的な体の予防ケアをされる方を除き、多くは、自分ではなかなか手に負えない不調やトラブルが体にある場合での整体施療についてのお話です。
サークル活動の場合は
では、サークル活動ではどうかというと、当然、ここまでの個別対応はできないものの、日常的にありがちな、体が重いとか、疲れがちであるとか、体調がいまひとつすぐれないとか、あちこちが少し痛いというような、ちょっとした愁訴や心身の不具合等に対し、あるいは、もっと前向きな、固い体を柔らかくしたいとか、もっとスリムになりたいとか、足腰を強化したいとか、いつも健康で元気でいたいとかといったことに対しては、さまざまな運動、功法を通して、体を整え、気血の巡りをよくしていくことになります。
たとえば、
やわらか気功コースでは、甩手(スワイショウ)による血流促進運動、脱力運動、上体・下肢の関節柔軟運動、伸展功、骨盤調整など、
元気気功コースでは、ツボ刺激全身活性運動や香功、自分と相手を観ることを学ぶ推手、季節の気功養生功(八段錦や六字訣等)、お顔のリフレッシュ気功など、
気功太極拳コースでは、初心者向けの十三式太極拳をベースに、呼吸を深くする、気を実感し、巡らせる、
といったことをしているわけです。
そのどれもこれもが、繰り返しになりますが、体や心に潜む緊張を取り除き、関節、筋肉が滑らかに伸びやかに動くようにし、不活性、アンバランスを正し整え、そして五臓を元気にし、体中の気血の流れをよくすることなのです。
そうして、結果として、このサークル活動でも、手がつやつやしたり、血色がよくなったり、体が軽くなったり、コワバリがとれた、というのは、結構、皆さんがよく体験されることでもあります。
人が自然に備えもつ健康になる力を引き出す
このようにみていくと、もうおわかりのように、整体施療とサークル活動での運動は、基本的な方法としては、共に同じことをしているわけで、その根底にあるのは、人が自然に備えもつ健康になる力、これを大いに引き出し、発揮することに尽きます。
「自分の健康は自分でつくる」という気構えのもとに、コツコツと地道に、この内在する健康になる力を培い、十分に養って、日々を明るく元気で過ごしていきたいものです。そして、その健康、元気の輪が、自分一人にとどまらず、ご家族や知人の方など、周囲にもどんどん広がっていくといいなあ、と思っています。(⌒-⌒)ニコニコ