健康太一ミニコラム:行き過ぎ、偏りに注意しよう!

健康太一ミニコラム:行き過ぎ、偏りに注意しよう!

 
ふくらはぎの外側が痛い……原因は、偏った体の使い方にありました。えてして頑張り屋さんが陥りやすい、そんな落とし穴に、注意しましょう

37 行き過ぎ、偏りに注意しよう!

バランス図

全身をバランスさせよう! そして、呼吸も心も……(画像はPixabayより)

ふくらはぎの外側が痛い!

サークル活動中に、こんな質問が……。

体を動かしていると、左のふくらはぎの外側が痛くて困るんですが……

見ると、一見して体が左足の小指側のほうへと重心が偏っているのがわかりました。

いつ頃からですか?

ここ数日のことですが……

何か、左足に重心をのせて、作業か何かされていませんでしたか? そう言って、その方の体の特徴を物まねしてみると、

ああ、そうです、そうです。そんな恰好を仕事でずっとしていました。

それを聞いて、じゃー、試しに、こんなふうにして、左足親指側を踏みしめ、重心が右脚に行くように、繰り返し体を動かしてみてください……

すると、ああ、左脚ふくらはぎの張りが取れてきて、楽になりました……

原因に目を向けよう!

実は、この種の話は、整体の仕事をしていても、結構よく見聞きしたことです。

テレビとかパソコンが体の右方向にあり、いつも上体をひねって見ることが多いせいで、背骨が側弯。それが原因で、体の多方面にわたって不調が生じていたケースもありました。

また、デスクワークとか手仕事、趣味の手作業等で前屈みの姿勢になることが多く、それが原因で、胸や肺の病気、肩、首の重いコリに悩んでいらっしゃった方もいます。

あるいは、姿勢をよくしなくちゃ~と、胸を突き出し、腰を無理やり前に押し出したような姿勢を続け、ひどい腰痛に苦しんだりと……。

こうしたケースは、いずれも仕事や生活の場で、偏った体の使い方、ありようを繰り返し、重ねてきた結果として現われた体のトラブルといえるでしょう。

でも、それでお困りの方はというと、トラブルや不調、悩みのほうにばかり目が行って、それを誘発している原因、たとえば姿勢の悪さとか偏った体の使い方にまでは意識が及んでいないことも、どうやら少なくないようです。

そこで、筆者がやっている健康サークルでも、そんなことのないよう、物事の原因にも目を配り、注意するようにしましょう! と声をかけるのですが、すると、皆さん、あー、それはそうね、気をつけなくちゃ、と大抵、うなずいてくれます。

うなずいてはくれるのですが、案外、見過ごされているのでは……、と思われるのが、それほど大きな心身の不調やトラブルとはあまり関係しない、ちょっとした体の訓練などのケースです。

体を動かすときは反対側も

たとえば、脚を伸ばしての体の前屈。前屈が苦手な人は、なんとかそれを克服しようと、脚の裏を伸ばす練習ばかりをしがちです。

練習をすること自体はもちろんいいのですが、でも、その結果として、今度は、脚が曲げにくくなる、という弊害が現れることもあります。

正座ができない、あるいは膝を抱えて坐れない、といったことに今度は悩まされたりするわけです。

同様のことは、開脚などについてもいえます。180度開脚前屈に挑戦しよう、とそればかりやり過ぎると、今度は脚を閉じる、ということが苦手になったりします。

これらは、やはり、行き過ぎ、偏った練習のしかたといわなければなりません。前をしたら後ろ、右をしたら左、上をしたら下、外をしたら内、というように、体全体でバランスをとる必要があります。

上手なバランスのとり方は

ただし、バランスをとるといっても、たとえば右を10回したら、左を10回する、というような機械的なものではありません。

左右の可動域の差、動きの違いをよく観て、感じて、それらが均等になるようにすべきです。体に左右差があるわけですから、回数が右と左とで違っていても構わないわけです。

では、もし、右のほうへ行きづらかったら……?

その場合は、行きやすい左のほうの回数を増やして調整します。ポイントは、あくまでも自分の体をよく観て、感じること、そして気持ちのいいほうの回数を増やすことです。そうして右と左の動きを繰り返し調整していくと、いずれ左右差が解消されてくるでしょう。

また、単に左右差ということではなく、ある動きをすることで、その場所とは違う離れたところに制限、あるいは痛みのようなものを感じた場合は、どうすればいいでしょうか……?

そんなときは、その箇所が動きを制約しているわけですから、「よくなれトントン」をすると、結構具合がよくなったりします。

「よくなれトントン」については、下記に書きましたので、ご覧いただければと思います。

⇒ アトピー、眼瞼下垂で困っています……(続)

いずれにしろ、体は一つで全体です。すべてはつながっているわけで、部分、部分にこだわって、そればかりをやり過ぎる、ということには十分な注意が必要です。全体として常にバランスがとれるよう、気を配るべきです。

呼吸はどうですか?

以上は、主に体についてですが、同じようなことは、呼吸についてもいえます。

たとえば、体の可動域を広げ、柔軟性を増すためにある動作をする場合、息を吐きながらやりましょう、と言うことがあります。それは、心身の緊張度がかなり強いと見受けられる場合、まず、その緊張度をほぐす意味合いもあって、まず、吐くことをお勧めするわけです。

前回のこのコラムでも述べたように、息を吸うというのは、交感神経を優位にし、胸郭を広げ、横隔膜を下げるということなのですが、体が固いという人は、体が自由に動かしにくいので、どうしても力を入れて(交感神経を強く働かせて)動かしがちです。しかし、それではより緊張状態が高まりますから、頑張ったわりには、効果があまり上がらないことも少なくありません。

⇒ 「呼吸」について(続)

ですから、むしろふ~と息を吐き(副交感神経を働かせて)リラックスして動かしたほうが、無駄な緊張が減る分、動作もやりやすく、結果的に、体の可動域を広げ、柔軟性を増すことにつながることも多いと考えるからです。

でも、だからといって、息を吐くことを何か金科玉条のように、いつでも、どんなときも、それでなければいけない、と言っているわけではもちろんありません。

まずは、背骨や各関節、それに付着する筋肉、呼吸筋などがスムーズに動くよう、体の柔軟性を増し、無用の力を上手に抜くことを覚えること、これが肝心です。そして、それがある程度できるようになってきたら、動作によって、すなわち胸郭を広げ、しっかり腹圧をかけ、横隔膜を下げ、骨盤底筋を上げるような動きとか、体幹をしっかり支えるような動作では、息を十分に吸い込むことも、当然、大事になってきます。

しっかり息を吸い込むことよって、新鮮な酸素が体の組織、細胞に供給されますから、体が熱く、元気にもなってきます。

吐くのか、吸うのか?

では、吐くのか、吸うのか判然としないような動作をするときは、どうやって決めればいいのでしょうか……?

これについては、基本的には、胸郭が広がる、横隔膜が下がる、といった動きは、自然に息が吸えますし、その逆は、吐けます。でも、そのどちらともいえないような動きのときは、動作の目的にもよりますが、単に体を動かすということであれば、先に述べたように、やはり、どちらが気持ちがいいのか、それをよく観て、感じて、決めればいいのではないかと思っています。

ここで言いたいのは、単に、吐くことばかりに捉われ過ぎて、吸うことを疎か、ないがしろにするのは、やはり行き過ぎ、偏りと言わざるを得ない、ということです。何か決められたことが先にあって、ただそれに従うというのではなく、あくまでも自分の感性を頼りにすべきであると思うのです。

ちなみに、呼吸については、単に吐いて吸ってだけでなく、相当、奥の深いものがあります。ヨーガでは、吐く回数、吸う回数、長さ、さらには息を止める=閉息が重視されたり、また、呼吸を右の鼻孔でする、左の鼻孔でするといった、結構細かく掘り下げた方法論が言及されています。

心とどう調和させるか……

さて、体を動かすことと呼吸についてみてきましたが、これらに深く関係するのが、心のありようです。

よく言われるように、心の不安、動揺やマイナス感情、苛立ち、興奮、怒りなどは、人の姿勢や動作、生理機能にも深く影響するとされます。なぜ、自分は行き過ぎ、偏りになりやすいのか……。そのことに焦点を当てて、自分自身を省みるのも、とてもいいことかもしれません。

行き過ぎや偏りをなくし、バランスをとる、というのが、こうした心の面も含めて、ということになると、これまた、非常に奥深いものがありそうです。残念ながら筆者には、そのことについて今、語るだけのものを持ち合わせませんが、ただ、心の平安、安寧を求めるには、いきなりそのことにアプローチするよりは、むしろ、体のほうからまずは始めて、全身の柔軟性を高め、動きの偏りを正し、体のバランスをよくとるようにしてから、それを瞑想等を通じ、心の面にも及ぼしていくのがいいのではないか、と個人的には思っています。

なお、心の問題へのアプローチについては、下記でも少し触れています。何か参考になるようなことがあれば大変、幸いです。

⇒ ひとつながりの心と体

心と体、それらを一体のものとして、お互い、早く、調和がとれるようになると、いいですね。(⌒-⌒)ニコニコ

36 「呼吸」について(続)

35 「呼吸」について

34 健康、養生はまず「足元」から!

33 気功をしている人の手は綺麗!

32 トータルに「整体」しよう!

31 朝起きたとき、片目が開かない!?

30 前屈みや猫背の姿勢を真っ直ぐにする簡単な方法

29 気血の流れがよくなり20代に若返り!?

28 「脾」の季節に役立つ気功法

27 夏の暑さに負けない気功法

26 歳をとると、なぜ腰が曲がるの?

25 一生楽しめる健康法!

24 体を柔らかくする八卦柔身功

23 三骨軽打法について

22 甩手(スワイショウ)はどれくらいすればいいの?

21 百病を癒す甩手!

20 練功から煉功へ!

19 ”ただ立つだけ”で心身が整うの?

18 放鬆功で心の緊張を解放しよう!

17 結構すごい、ツボの効果!

16 気が流れると痛みが消えた!

15 “湿邪”から身を守ろう!

14 前後の甩手(スワイショウ)考

13 猫背を癒す簡単な方法

12 体の前後揺すりで背骨に気を通す

11 体のバランスを取り戻しましょう!

10 気功的平衡ということ

09 体の固着から解放されよう!

08 凝り固まった思い込みから解放されよう!

07 何かをするということ、何かをしないということ

06 体幹と末梢運動について

05 姿勢美人と中心力

04 “力ずく”とは、なんとも無粋

03 静止して動く!

02 “脱力”のちょいヒント

01 ありとあらゆるものにある開合のしくみ