健康太一ミニコラム:上がらない左腕が上がるようになった!

健康太一ミニコラム:上がらない左腕が上がるようになった!


 
男性から「腕が痛くて上がらない」との相談が…。姿勢を正し、気功的な体の動かし方をしてもらうと、目に見えて改善が……

39 上がらない左腕が上がるようになった!

腕が上がらない画像

腕が上がらない!(画像素材は cco public domainより)

左腕が痛くて上がらないんですが……

比較的若い男性(30代)から「腕が痛くて上がらない……」との相談がありました。

姿勢を見ただけで、それもそうだろう、と思いました。重心が明らかに左にかかり、頭は前に下がり左に振れ、耳は肩の位置よりかなり前に突出しています。

一日中事務仕事ばかりしている人に多い兆候といえます。

そこで、まず姿勢を正すことから始めました。

背中を伸ばすと痛くなる……

ところが、背中をまっすぐにしようとすると、胸が痛くなると、しかめっ面です。

なぜかというと、要するに、胸の筋肉が強張っていて、体を反らすというか、前を向くことすらも、大変なわけです。

そこで、胸の周囲から脇、首にかけてやさしくほぐしていったところ、顔がどうにか上がるようになってきました。

ところが、その様子はというと、まだ顎が上を向いて、頭のてっぺん(百会)が斜め後ろ方向を指すような状態です。顎を下げようとすると痛い、というのです。背筋を伸ばして百会を押し上げるように、と言っても、それも痛くてできない、とのことです。

要は、背中側が縮んでいるということですから、今度は背中から肩、首の後ろにかけて、やさしくほぐしていきました。

すると、ようやく顔が前を向き、頭のてっぺんも天を指すようになってきました。

この段階で、試しに、左腕を上げてもらうようにしたところ、最初に見せてもらったときと比べ、多少の改善は見られたのですが、右腕のように、肩より上へはとても上がりません。

上半身と下半身がバラバラ……

そこで気がついたのが、腕を上げるときの様子です。

どういう上げ方をしているかというと、腕の力(筋力)を使って、ヨイショ、と持ち上げるようにしています。

下半身はというと、上半身や腕の動きとまるで関係がないかのようです。

そこで次に、上半身と下半身を連動させ、力を抜いて空気のように軽々と腕を前へ上げてもらう練習をしてもらうことにしました。

太極拳でいうところの起勢(チーシー)という動作です。

脚で腕を上げる……

ポイントは、腕を上げようとするのではなく、脚で大地を踏む、押しつけるようにすることです。

つまり、上に上がるためには、下に降ろす、ということです。この相反する力を利用します。

もっとも、脚で大地を踏むといっても、ドドンと脚の力で叩きつけるようにするわけではありません。

意識を使います。全身の力を抜いて(ファンソン)、大地に体を委ね、預けるようにします。そして、意識で重みを下にかけます。

もっといえば、下に意識で押すことで、大地の反発力、反作用のエネルギーを用いるのです。

といっても、相談者はチンプンカンプン、何を言っているのだろうか、と怪訝な表情です。

足の裏の重心移動を使って……

そこで、もう少しやさしく、足の裏の重心移動で上げてもらうようにしました。

どういうことかというと、ただ腕力で手(腕)を上げるのと、足の裏の重心を半ば爪先側から踵側に移しながら手(腕)を上げてもらい、その違いを感じてもらうようにしたのです。

すると、ただ腕力で上げるのと違い、足の裏の重心移動をしながら上げるのとでは、後者のほうが明らかに楽で、そんなに力を要しない、ということが、感覚的に理解してもらえました。

ご本人は、へぇーという顔です。

大地の反作用のエネルギーを利用する……

今度は、やはり踵側への重心移動を伴いながら(これも、力に依らずとも、体幹を使って大地を圧すことにつながる)、さらに意識を下向きにかける(たとえば、地球の中心に体が沈み込むとか意識する)ようにしてもらったところ、もっと楽に、軽く、手(腕)を上げることができるのを実感してもらいました。つまり、大地の反作用のエネルギーを体感してもらうようにしたわけです。

ご本人、さらに、へぇーという顔です。

そこで次に、同様にして、手(腕)を横方向に上げてもらうと、さらに上げやすくなってきました。しかし、まだ肩の近くまでで、肩より上へは上がりません。

肺経絡の気の流れを活性化……

そこで、今度は、左腕をもう少し仔細にチェックしたところ、東洋医学でいうところの肺経(鎖骨下から手の親指のほうにつながる気の流れ)に問題があることがわかりました。

鎖骨下の中府、雲門といういわゆる肺経のツボを、用心しながら多少強めに押すと、痛い! という反応が現われます。

この肺経の気のルートに沿って辿っていくと、肘の辺りにある尺沢というツボに気の詰まりがあることがわかりました。

このツボを活性化したところ、先の鎖骨下の中府、雲門というツボを押しても、今度は痛がりません。

そのうえで、再度、手(腕)を横から上げてもらったところ、ようやく右腕とほぼ同様に、左の腕も肩より上に上がるようになったのでした。

ひとまず、めでたし、メデタシ、というところです。

しかしながら、日頃から姿勢を正しく保たないと、いつ同様の問題がぶり返すかしれません……。

日常生活の場で、自らの健康は自らでつくる――そのことの大切さをくどいほど強調させていただきました。

こうして今回、ひとまず体のトラブルは解消に向かったのでした。 (⌒-⌒)ニコニコ

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