健康太一ミニコラム:片目が開かない!?

健康太一ミニコラム:片目が開かない!?

  2018年冬号画像
朝起きたときに片目が開かない!? という体験談の紹介です。さて、どうしたか…。同じ悩みを抱えた際の参考になれば幸いです(2018年冬号1)

31 朝起きたとき、片目が開かない!?

奇経に問題を抱えるケースが増えている?

最近、整体の仕事をしていて、いささか妙な感じを受けているのは、奇経に関係して調子を崩される方が増えていることです。

奇経というのは、生命エネルギーである気と血、すなわち気血を流す12の正経脈(人体の臓腑と関係する肺大腸経とか腎膀胱経とか)とは別に存在するルートをいいます。その役割は、12正経脈の間を縦横、密に連絡、連結して、気血の調整を独自に行なうことで、具体的には、督脈、任脈、衝脈、帯脈、陽蹻脈、陰蹻脈、陽維脈、陰維脈の8種があるとされます。

体の異常が数種の正経脈にわたって窺えるときとか、内因といって、不調の原因が精神的感情的要素からくるものか、外因といって、外界から受ける風寒暑湿等の影響によるものか、不内外因といって、飲食の乱れや働きすぎ、怠けすぎ等によるものか、情報が錯綜、混乱していて、はっきりしないときなどに、この奇経ルートの主要なツボ(経穴)を活用することで、体の異常が案外早く解消に向かう効果があったりします。

たとえば、督脈と陽蹻脈にかかわるものであれば、足の申脈と手の後谿というツボを結んで人体エネルギーの過不足を調整し、気血の流れを正常化することで、不調が目に見えて改善することがあります。これは整体施療を実際にやっている者としても、その効果のほどには驚かされるばかりです。

最近では、個人的に、こんな体験をしました。

片目が開かない!?

朝起きたときに、なぜか片目(右目)が開かないのです。

片目が開かない図

あれれ、右目が開かないぞ?

どうしたのだろう!?

そこで、ふと思いついたのが、奇経の陽蹻脈と陰蹻脈です。

陽蹻脈と陰蹻脈の図

陽蹻脈(右)と陰蹻脈(左)――両奇経脈は目の内側で合流し、目の開閉動作、視覚能力と密接に関係している(図は、『経絡十講』商務印書館より)

陽蹻脈は、図にもあるように、踝の外側の申脈穴(太陽膀胱経)から起こり、下肢外側から臀部に至り、側胸部から肩甲部、側頸部を通って、内眼角へ達して陰蹻脈と合流し、そこからさらに後頭部の風池穴(太陽膀胱経)へと至ります。

また、陰蹻脈は、踝の内側の照海穴(少陰腎経) から上り、前陰部を経て、腹部、胸部から、鎖骨上窩に入り、喉を通って内眼角に達し、陽蹻脈と合流します。

つまり、どちらのルートも目の内側に入って合流するわけです。このことは、経絡について勉強する過程で知ってはいたことですが、たまたま張明亮先生(峨眉丹道医薬養生学派第十四代伝人)の『峨眉伸展功』の本を読んでいた際に、この陽蹻脈と陰蹻脈は、両者の気がバランスよく働くことで目の開閉、視覚能力を主るとともに、下肢の運動能力とも密接不可分の関係があることを学びました。

峨眉伸展功の本

体を伸びやかにし、気血の流れを良くする(張明亮著 ビイング・ネット・プレス刊)

そのことを思い出して、実に横着なことですが、寝ころんだまま、足の親指で踝のツボを刺激してみました。すると、どうでしょう。その瞬間に、ぱっと右目が開いたのです。あまりの効果の速さ、凄さに、びっくりです!

これは、面白い! 寝ころんだまま、別の実験も試みました。

目は肝・胆経と関係が深いとされるので、これも寝ころんだまま、手で肝臓のある季肋部辺りを触れてみると、日月という胆経のツボに変調が窺え、このツボに指を当てたところ、やはりすぐに右目が反応して開くことがわかりました!

この体験から、改めて、気血の流れを整えることの大切さを痛感しましたし、それとともに、いつも思うことですが、古代からのこうした東洋医学的な智慧の深さ、効能の確かさに感動を覚えた次第です。

峨眉伸展功をしよう!

それともう一つ。

ニコニコ太一気功サークルで勉強している伸展功は、気血の流れを良くするのに優れ、なかでも仆腿式は、先に述べた陽蹻脈、陰蹻脈の経脈疎通に効果が高いとされますから、目に不調を感じていらっしゃる方はむろん、そうでない人も、他の式も含め、伸展功全十二式をすべて通して、是非しっかり煉功していきたいものですね(⌒-⌒)ニコニコ

仆腿式の図

仆腿式は、目の開閉、視覚能力、さらには下肢の運動能力と関係する(図は『峨眉伸展功』より)

30 前屈みや猫背の姿勢を真っ直ぐにする簡単な方法

29 気血の流れがよくなり20代に若返り!?

28 「脾」の季節に役立つ気功法

27 夏の暑さに負けない気功法

26 歳をとると、なぜ腰が曲がるの?

25 一生楽しめる健康法!

24 体を柔らかくする八卦柔身功

23 三骨軽打法について

22 甩手(スワイショウ)はどれくらいすればいいの?

21 百病を癒す甩手!

20 練功から煉功へ!

19 ”ただ立つだけ”で心身が整うの?

18 放鬆功で心の緊張を解放しよう!

17 結構すごい、ツボの効果!

16 気が流れると痛みが消えた!

15 “湿邪”から身を守ろう!

14 前後の甩手(スワイショウ)考

13 猫背を癒す簡単な方法

12 体の前後揺すりで背骨に気を通す

11 体のバランスを取り戻しましょう!

10 気功的平衡ということ

09 体の固着から解放されよう!

08 凝り固まった思い込みから解放されよう!

07 何かをするということ、何かをしないということ

06 体幹と末梢運動について

05 姿勢美人と中心力

04 “力ずく”とは、なんとも無粋

03 静止して動く!

02 “脱力”のちょいヒント

01 ありとあらゆるものにある開合のしくみ