健康太一ミニコラム:トータルに「整体」しよう!
今回は、片手を背中に回して上げられない!? という体験談についてです。さて、その顛末は……。イザというとき、何かの参考になれば幸いです
32 トータルに「整体」しよう!
片手が背中に上がらない!?
最近、ツレアイが、こんな体験をしました。
左手を背中に回して上げられない、というのです。
これまでは、両手とも、甲を背中の肩甲骨の間に当てて、楽々上げることができていましたから、
あれ、いったい、どうしたのかな!?
と、頭をひねったそうです。
で、どうしたの? と話を促すと、
手でさわると、右腕に比べ、左腕の上腕の部分が張っていて弛まない感じがしたので、アレっと思いながら鏡を見たら、右腕と左腕では、動かし方に、違いがあるのに気がついた、と言います。
さらに聞くと、右腕のほうは手を回して上腕が脇に付いているのに、左腕は脇が開いて、手を回す内旋の動作がうまくできないことに気づいたそうです。
どうやら、上腕を回そうとすると痛みが出るので、それを避けて、無意識のうちに左脇の脇を開けたため、左手の甲が肩甲骨の間にまで上がっていかない、ということのようです。
それでツレアイは、左腕の上腕を軽くさすってほぐしながら、脇を徐々に閉めるようにして手を動かしていくようにしたそうです。すると、そのうち少しずつ上がるようになってきた、とのことでした。
手の指がうまく曲がらない!?
その話を聞いて、思い出したのが、少し前にあった出来事。同じくツレアイから、左手の第4指、第3指がうまく曲がらないので困っている、という相談がありました。その場で簡単に調べると、指先まで気(生命エネルギー)がうまく流れていないようでした。
ちなみに、第4指は東洋医学でいうところの三焦経という経絡が、第3指は心包経という経絡が流れています。
図をご覧いただければおわかりのように、二つの経絡はともに手の中央部分から腕の前面もしくは後面の中ほどを前後をはさむようにして通り、一方は肩から首、顔へ、もう一方は脇から胸のほうへ流れています。
気の流れを導くと、手の指が伸びた
そこで、このときはどうしたかというと、ごく簡単に、二つの指の先端にあるツボ(井穴)と両手首辺にあるツボの数か所(陽池、外関、大陵、内関など)を刺激したのち、問題の二本の指を軽く握って、気を末端まで流すように導いてみました。すると、それだけで、
アッ、手が伸びるようになってきた、と、すぐに好い反応が現れてきました。で、これからも伸びにくいようなことがあったら、自分でそんなふうにやってもらうようにアドバイスし、ひとまずこの話はこれで終わりました。
子供の頃の事故の痕跡
そのことを思い出したので、今回の左腕の件と重ね合わせて、何か以前に左手を痛めたようなことはなかったか聞いてみると、ツレアイはしばし考えたのち、そういえば、中学生の頃、ちょっとした事故で手をひどく打ちつけたことがあった、と言います。
もっとも、その事故の後は、本人も別段気にすることもなく、記憶も遠ざかっていったみたいなのですが、なにかの折に、この二本の指が冷たく感じることはあったそうです。
それを聞いて、あ~、人間の体というものは、そんなに前のことも今に至るまで痕跡をとどめていて、なにかの拍子にそれが現われてくるものかと改めて驚かされ、反省もしました。
というのも、整体の仕事に従事する身として、施療は、表層の一つの出来事だけを見て、対処療法的に事に当たるのではなく、できるだけそのトラブルや不都合、困り事がいったいどこから来ているのか、根本の原因を、体の全体をみて、きちんと探り、考察し、そのうえで施療に当たるべし、と常日頃自戒しているのにもかかわらず、ついつい、それを怠ってしまいました。いや、ツレアイだからといって、けっして手抜きをしたわけではないのですが……。(;^_^A アセアセ
今回の左手を背中に回して上げられないという話も、左手の第4指と第3指がうまく曲がらないという話も、先の経絡図の流れを見れば明らかなように、それぞれけっして別個の話ではなく、明らかにつながっていて、いささか専門的になりますが、三焦経・心包経という表裏の関係にある証、腕の前後の気の流れと関係する問題として対応すべきことだったのです。
とかく私たち人間は、目の前のこと、直近のこと、目立つ部分に目が行きやすく、奥底にあって見えにくいもの、ツナガリを感じにくいもの、あるいは部分的にはよくてもトータル、全体でみるとどうなのか、といったことに目が行き届かない傾向があります。しかし、それでは、残念ながら、本質的な解決にはつながらないことも少なくありません。
腰の痛みが目から、胸の鈍痛が昔の手術から……
筆者の施療体験でも、腰の痛みが、実は目から来ていた、ということもありましたし、胸の奥の鈍痛が、昔した胆のうの摘出手術からどうも来ているらしい、ということもありました。
部分にこだわった運動が弊害を生むことも……
また、施療ということでなくても、体をストレッチする際に、部分にこだわり過ぎるということも、しばしば見かけるところです。よくある例ですが、姿勢をよくしようとして膝を伸ばすことをやり過ぎた結果、今度は、膝が曲げにくくなって、うまく坐れないとか正座がしにくいといったことがあったりします。
最近では、似たような例として、こんなことがありました。これも、ツレアイの体験談です。
バックして歩く動作がどこかぎこちない、という方がいたので、ふつうに歩いてもらって、歩く様子をよくみると、踵重心になっていました。
踵重心になりがちということは、大腿の前面の筋肉である大腿四頭筋を使って、膝を伸ばすような歩き方ですから、これではバック歩きのような膝を折り曲げながら後ろに足を運ぶ動きは、やはり大変になるでしょう。
そこで、やってもらったのが、爪先立ちを繰り返してしてもらい、重心が足の前側にいくようにすることと、伸展功の展腿式という動作をしてもらって、脚の前面の筋肉をよく伸ばし、硬直を取り除き、膝を曲げやすくすることでした。
ほんの短い時間でしたが、それをやってもらうと、途端にバックする動作がスムーズにできるようになったのでした! これには、その方もツレアイも、びっくりしたそうです。
これなんかも、やはり、体全体をみて、脚の前後の筋肉バランスを回復させたことが、効を奏した一例ではないかと思います。
心身の健康づくりはトータルに進めよう!
いずれにしても、人間の体というのは、局部、部分に囚われず、トータルで広くみる視点が欠かせません。当然、心身の健康づくりも全体、トータルをよくみながら進めていくことがたいへん大切だ、ということを、最近の身近な事例から改めて感じた次第です。(⌒-⌒)ニコニコ
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