健康太一ミニコラム:健康、養生はまず「足元」から!
今回は、手の違和感が、足で取れた! という小体験談についてです。健康づくり、養生のためにも、ご一緒に、足を柔らかく、しなやかにしましょう
34 健康、養生はまず「足元」から!
手の違和感が、足で取れた!
ある若い女性から、手が変、とのお話がありました。聞くと、右手親指の付け根、母指球といわれる辺りが何かオカシイのだそうです。ここら辺は魚際といって、東洋医学でいう肺経のツボがあるのですが、見ると確かに、膨らみ具合が違います。左手にあるような小皴もなく、やや腫れぼったい、どこか不健康な印象です。
そのとき、ふと閃いたのが、その違和感を足でどうにかできないか? ということです。なぜ、そう思ったかは定かでありませんが、常々、人の体は全てひとつながりで連なっていると信じていますから、そのことの確かさを共に共有したい、という密かな思いが心の奥底にあったのかもしれません。
それで、ご本人の了解のもと、右足裏の同じく母趾球の辺りを触らせてもらうと、少し筋張ったような妙に固さの感じられる箇所があります。そこを指で軽くゴシゴシすると、本人は痛がります。
そこで、指の力を抜いてやさしく揉みほぐすようにしていると、その箇所がすぐに緩んできました。本人も、もう痛くなくなったと言います。
それを聞いて、手のほうをもう一度見てみると、ナント! やや腫れぼったさのあった右手の母指球が少し萎(しぼ)んだ、というか元の普通な様子に戻り、小皺も左手と同様に、見られるようになりました。あまりの即効性に、ご本人はむろん、隣で見ていたmichiも、びっくりです。
股関節の痛みも軽くなる
小生はというと、実は、似たような体験はこれまでにもしていました。たとえば、股関節がおかしい、痛い、というのを、同様に足の内踝の近くをやさしく揉みほぐすことで軽くなる、といったようなことを少なからず体験しています。これは、いわゆる足裏健康法として知られているものに近く、いろいろ試してみて、確かにその効果を実感しています。
類似したことは、ヨガでもあるようで、レッスンをする前に、必ず足指を回す・足裏をマッサージするなど柔らかくしてからレッスンを開始する教室がある、と以前に聞いたことがあります。
むち打ち症の施術は母趾から……
また、アイダ・ロルフというと、「ロルフィング」という独自のボデイーワークを創始した博士として有名です。彼女が着目したのが筋膜などの結合組織です。それらは、全身に隈なく張り巡らされ、筋骨格系とはまた別のやり方でそれらと一緒に体の構造を成り立たせています。その結合組織のしくみそのものにやさしく働きかけることで、人々の健康維持と生命力の発展に寄与する道を新しく切り開いたのでした。
このロルフ博士が、むち打ち症を施術する際の手順として、まず足の母趾から始めるのが正しいと弟子たちに言ったそうです(『ビジュアルで学ぶ筋膜リリーステクニック Vol.2』T・ルカウ著 医道の日本社刊)。
これは、一体どういうことなのか……、むち打ち症というと首の疾患なのに、なぜ足なのか?
著者は、その真意として、むち打ち症の施術では、損傷した首のみにこだわるのではなく、身体を全体として見て当たらなければならない、という主旨のことを述べています。
膜でつながる人の体
このことをもう少し噛み砕いて自分なりに解釈すれば、まず足についてですが、足には26個の骨と19の大きな筋肉、踵から足の趾につく多くの小さな内在筋があり、多数の靭帯とともに構成されているといわれます。
図は、足底部の4つの筋腱層を示したものです。気功整体学校の学生時代に初めてこの図を見たときは、その精密な構造にびっくりしたことを憶えています。この図を見ると、母趾だけでも長短母趾屈筋腱や母趾外転筋、母趾内転筋横頭、斜頭などの腱が付着しているのがわかります。
そして、これらの骨や筋腱は単独してあるわけではなく、膜という多層の結合組織に包まれて、その構造が成り立ち、伸展や屈曲、外反や内反、外転などの機能を果たしているということなのだと思います。
しかも、例えば下腿の緋腹筋・ヒラメ筋と足底筋膜が連続しているように、この膜構造は、体の全身につらなり、繋がっていますから、足の局所のトラブルがその部分だけにとどまらず、複雑、精妙なしくみでもって、全身に波及していくことが想像されるわけです。
足は大地と接し、体重を支え、人間の行動と関わるという重要な役割を担っています。にもかかわらず、足は、手に比べ目からも遠く末端にあり、どこか陰に隠れてあまり大切にされないきらいがあるようにも見受けられます。小さな靴で締め付けられ、窮屈な思いをすることもあるのではないでしょうか。
しかし、その肝心の足のどこかがおかしい、ということは、筋膜つながりで、膝にも影響を与え、それは脚の付け根に作用し、脚の付け根の問題が骨盤の捻じれを招くかもしれません。そのことが腹部にも波及して腹部が影響を受けると、腹部には副交感神経系の迷走神経がかかわっているので、内臓の働きや気持ちの安静、リラックスということとも関わってくるでしょう。また、肋骨にまで影響が及ぶと、呼吸機能にも関係してくるでしょう。さらに、骨盤の捻じれは、脊柱を介して首とつながり、首への影響も懸念されます。首ということでは、肩が影響を受けて、そこから首にトラブルが派生していく、ということも考えられます。こうして首が影響を受けると、それは頭部に影響を与えるということも予想されます。
つい、いろいろ書き連ねてしまいましたが、要は、足と首は別物、というふうに考えるべきではない、ということなのでしょう。冒頭の若い女性との体験談でいえば、足と手は離れているから関係ないということではない、ということです。
足を、全身を大切にしよう!
やはり、体は、心の面も含めて、ひとつながりにつながっているという、人間を全体として捉えることの大切さを、改めて痛感させられた一件でした。
ニコニコ太一気功のサークル活動では、そんな考えも根底にあって、体幹を使って足裏の体重移動をする練習や足関節、股関節をはじめ各関節をていねいにほぐす運動などに時間を割くほか、フロア気功でも足をやわらかくほぐすことを推奨してやっていますが、健康づくり、養生はまず足元からという視点を大切にして、これからもメンバーとともに、活動に励んでいきたいと思っています。(⌒-⌒)ニコニコ
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