血圧安定と冷え性予防に! 舒心平血功
心を舒(おだやか)にし、血を平ら(安定)にさせる効果があるといわれる舒心平血功、その効果のメカニズムを一番目の動作、聞鶏起舞について探ってみると……
体が驚くほど温まる
昔、運動不足解消のために気功や太極拳を呑気にやっていた頃にはまるで気づかなかったことが、改めて体のメカニズムについて勉強してみると、アッ、そうだったのか! と今更ながらに合点することがある。サークルで取り組んだ舒心平血功も、そんな功法の一つである。
中国では、体の中を流れる経絡に気を通し、医療効果を高める研究が、臨床を含めて、盛んに行なわれている。「舒心平血功」も北京体育大学の張広徳老師によってそのようにして編成されたもので、その名のとおり、心を舒(おだやか)にし、血を平ら(安定)にさせる効果があるといわれる。
参考までに、張老師が著わした「導引養生功」(北京体育大学出版社刊)によれば、この功法は、
- 高血圧、低血圧、冠状動脈疾患、不整脈、動脈硬化等に効能があるとされ、
- 2000以上の病例と臨床、経過観察を踏まえての有効率は92.5%、そのうち治療効果の著しかったものは80%に上るという
私自身がやってみた感想では、体が驚くほど、それもすぐに実感できるほど温まるので、冷え性でお困りの方にもきっといいと思う。
動作は簡単なのに、なぜ、血圧安定にいいのか
では、なぜ舒心平血功は血圧の安定に良いといわれるのか。
たとえば一番目の「聞鶏起舞」(朝、鶏の声とともに起きだして舞う)をしてみると、その意味合いの一端が理解できる。
動画をYou Tube上にアップしているので、見て、試しに動いてみて欲しい。動作はいたってシンプル。踵を上げ下げしながら、腕を動かし、手を開閉し、ついでに首も左右に振る。たったそれだけのことなのだが、体の生理学からはとてもよく考えられた功法のように思える。
⇒ 〈動画〉聞鶏起舞:舒心平血功はなぜ血圧安定にいいのか、その秘密を一番目の動作に探ります
いうまでもなく、人間の体は、血流のどこかの流れが阻害されると、心臓は血流を良くしようと頑張り、血圧は上がりやすくなる。静脈血の戻りが悪いと脚はむくみ、循環や代謝不良から体の不調・不活発を招きやすくなる。
この点、聞鶏起舞の踵を上げ下げする動作は、第二の心臓ともいわれる下肢の筋肉を適度に刺激し、静脈血の還流を助け、血流を良くしてくれ、結果、心臓の負担を軽くしてくれそうである。
また、腕を内旋・外旋する動きは末梢の筋肉、関節を動かして、経絡の通りをよくし、滞っていた気血の流れをスムーズにしてくれる効果が確かにありそうだ。
さらに、首を回す動きは、斜角筋等に働いて、血流の要所でもある鎖骨と第一肋骨の間の詰まりをほぐすのにも役立っているのではないかと思う。
つまり、この聞鶏起舞の動作は、血流を要所要所で舒(おだやか)にし、安定させるのにやはり効果的だといえそうである。
たとえ血圧の問題がない人でも、心をゆったりと落ち着かせる意味からも、ぜひ多くの方に試してみていただきたい功法だと思う。