お腹と背中がカサつき、風呂に入るとかゆくなる

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前回の施療で足裏の魚の目状の痛みはほぼ感じなくなったものの、まだお腹と背中がカサつき、風呂に入るとかゆくなるという。みていくと気の逆流現象が……

<お腹と背中がカサつき、かゆくなる……>

該 当 者: 10代 男子
該当部位: 腹部、背中
訴  え: お腹と背中がカサつき、風呂に入るとかゆくなる……

<見立て~施療>

前回の、足裏の魚の目状のものの施療から一週間後の来院。気になっていた足裏のトラブルは、幸い、圧をかけても痛くなくなったとのことで、一安心。しかし、前回あわせてお母さんが気にしていた背中等のブツブツについてはカサツキとなって、依然、問題が解消されず、残されている模様

⇒ 魚の目のようなものが痛くて、歩けない

実は、この男の子の皮膚の悩みについては、1年以上前にも相談を受け、施療したことがあった。というのも、この子には、お母さんに聞くと、幼児のときから食べ物のアレルギー症状があり、小学校にあがってからも体全体に緊張感が強く、何かあると、お腹や背中にブツブツが出たり、かゆくなったりすることがしばしばで、その際も、体のかゆみについての相談だった

肺・大腸経と胃経を中心に施療

そのときは、肺・大腸経を中心に胃経を加えて施療した。ちなみに、肺・大腸経は、東洋医学では皮膚の状態、病と関係の深い経絡である。また、胃経は脾経とともに、肺経の働きの助けを受けて、飲食物の消化・吸収・発酵作用を分担し、全身を栄養する重要な役割をもつとされる。それだけに、この部分がうまく機能しなければ、体内のエネルギー流通や肌の潤いの状態にも影響を与えかねない恐れがあるといえそうだ。事実、このときは、これらの諸経絡を施療することで、一応の改善を得られた

問題が起きるのは、体のバランスを崩したとき

しかし、この皮膚の悩みは、その後も間を置いて、時々顔をのぞかせ、さらに数回、施療を重ねた。そして段々わかってきたのは、問題が起きるのは、前回もそうだったが、だいたい体のバランスを崩したときだった。そうした経緯があるので、体のブツブツについても、足裏の問題とともに、体のバランスを整えることで、ある程度解消されることを前回の施療では期待していたのだが、残念ながら、そこまでは効果が及ばなかったようである

膀胱経と胆経に問題が

そこで、早速、立位、坐位の状態で、FT(フィンガーテスト)でみてみると、今回、肺・大腸経にはとくに変調の兆しはみられず、膀胱経と胆経に何やら問題があり、それも膀胱経が胆経に影響を与えているようだった。胆経は肝経と表裏をなす経絡であり、肝臓がもつ解毒作用が十分でなく、それがカサツキの原因の一つになっているのかもしれなかった。また、チャクラについては、前回と違い、それほど活発とはいえないまでも、とりあえずは正常な範囲内であった

気(生命エネルギー)が逆流

さらに膀胱経絡の流れを伏臥位等でみてみると、同経絡上の経穴(ツボ)である攅竹、眉衝から後頭部にかけて玉枕、天柱、脊柱左側から左腰部、臀部にある承扶、膝裏の委中、下腿にある承山、外果に近い崑崙、申脈、前回魚の目状のものがみられた中足骨付近の束骨にかけて、多くの箇所で、気(生命エネルギー)が逆流しているのがわかった

気が逆流するというと、フツーの人は、えっ、そんなことがあるの? と思われるかもしれないが、東洋医学では、自然の川と同様、私たちの体内でも、気という生命エネルギーが脈々と流れ、巡っていると考える。そして、正しいルートに沿って過不足なく流れるとき、人は健康であるというのだが、様々な原因でその流れが細ったり、過剰になったり、逆流したりする。例えていえば、ちょうど川が土砂やゴミの堆積などで堰き止められたり、流木でつかえ、流れが反転したり、大雨で増水するようなものだと思ってもらうと、想像しやすいかもしれない。そうして気が逆流したり、異常を放置したために変質して”邪気”(ヘドロ)化したような場合は、さすがに事はそれほど簡単ではないといえよう

全身のバランス回復に努める

今回は、それを手技やエネルギーの補瀉(不足と過剰)調整等により、一つひとつ丁寧に正常化を試みていった。同様にして、仰臥位で、右腹部にあったシコリや、腋下の胆経の経穴である淵液から下肋部の日月にかけての気の逆流のほぐし、調整、さらには右側頭骨乳様突起部の圧痛箇所のほぐし……と、全身のバランス回復に努めた

その結果、術後は、姿勢と血色が良くなり、膀胱経、胆経も復調、チャクラも強くなり、お腹や背中に見られたカサツキも目に見えて薄くなった。これにはお母さんも驚かれていた

<考察> 症状部だけをみるのでなく、体全体の視点からアプローチ

前回と同様、今回のカサツキについても、症状そのものに着目してそれを消し去ろうというよりは、体全体がどうしたら「整体」に近づけるか、そのことを念頭に施療に取り組んだ。いってみれば、症状は体の構造上の歪みやアンバランス、機能の乱れ等から起こっていると考えて、それを適正な状態にできる限り戻すことで、気になる症状も、結局は正されていく……との発想である。部分を部分として限定して捉えるのではなく、全体のなかで部分を捉える。結果をみると、確かにそういうアプローチ法があっていいと思うのだが、どうだろうか