背骨が側弯、体中が不調…、その身近な原因とは?

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実に多くの症状を訴えて来院された女性。その姿を一目見て、原因らしきものはすぐ明らかに……
<腰が痛い…肩が痛い…自転車がこげない…仰向けで寝られない…手がこわばる…足が冷える…>

該 当 者: 50代 女性
該当部位: 体のあちこち
訴  え: 体中がおかしい、なんとかしてほしい……

<見立て~施療>

以前施療に来られた人から、連絡をいただいた。知人に、体中調子が悪くて困っている人がいる、一度、みてやってくれないか、とのご依頼。どんなふうに悪いのですか? と尋ねると、ここ数年来、なにやら腰と、肩と、股関節と、手足と……ともかく体中、調子がよくないらしい、とのこと

来院されたその女性の姿を一目見て、確かにそれはそうなのかもしれない、とすぐに想像できた。背骨の側弯など、あまりに姿勢が傾き、ゆがんでいるのである。上体が大きく左に行き、骨盤は右に。頭は右に行きやや回旋し、左肩が上へ、右肩は下へ。背中から見た仙骨の軸は上部が左に傾いている。右膝は内に入り、下へ。左膝は上に。顔も右と左で差があり、左側がシャープな顔立ちになっている

多発する症状

これだけ姿勢が明らかにゆがんでいるのにもかかわらず、ご本人はそのことを気にするよりも、いまはともかく右の腰が痛くて、重い。立ち上がるときが大変。自転車をこいでいると股関節の右のほうが痛くなってこげなくなる。仰向けになって寝られない。左向きになると割合楽。肩は左のほうが痛くて、どーんと重たい。両手の指にこわばりがあり、握りにくい。足は両足ともに冷えて困っている……と、体の方々に感じる辛さについて、縷々述べられる

何か転んだとか、事故とか、したことがおありですかと水を向けると、20年以上前に、交通事故で追突され首を痛めたことがある、あと10年ほど前にも、駅の階段で転んで、右膝の側副靭帯損傷といわれ治療をした、ただ、それ以降はとくにはないとの由。いまの症状が出てから、どこかで診療を受けたか聞くと、カイロプラクティックで数回みてもらったことがあり、体がひどくゆがんでいるといわれたという

身近にあったゆがみの原因

従事されているお仕事を聞くと、長年、ずっと坐って事務作業をしているとのこと。何か体を右にひねってされているとかはないですか、と尋ねると、やや驚いたふうに、ええ、右にパソコンがあり、それを見て仕事をしているとの由。そのパソコンを正面にもっていくことはできないんですか、と尋ねると、それは机の位置やスペースの関係で、むずかしいという

以上の話から、どうやら、背骨の側弯など体のゆがみの主たる原因は、日常の仕事をする姿勢にあるらしい、と判断された。それがわかったところで、体を続けてチェック。体の各関節部の多くに、気(エネルギー)の滞りが窺われ、内臓も総じて変調の気配がある。チャクラは一番のルートチャクラと、4番目のハートチャクラから7番目のクラウンチャクラにかけて、また、経絡では肺・大腸経と腎・膀胱経に何やら問題がありそうな気配

FT(フィンガーテスト)で影響・被影響についてみてみると、肺経が腎経に影響を与え、ハートチャクラの変調が左肩と右腰の痛みと関係がある模様

内気の乱れを調整

そこで、仰臥位にて、ハートチャクラに関係するローズクオーツを胸に向けながら、左手第一指肺経のツボ少商と同右手少商の間でエネルギーの不足と過剰を調整する補瀉をしたところ、こわばって動きの悪かった左手の違和感が消えた、と本人から、少々驚きの声。次に、右手第二指大腸経のツボ商陽と同左手商陽で同じく補瀉調整をしたところ、今度は右手がかなり楽になり、左肩も少し楽になったとのこと。続けて、右足裏の腎経のツボ湧泉と同左足裏湧泉の間で補瀉調整をすると、右手の違和感が消えたという。どうやら、肺・大腸経絡と腎・膀胱経絡間を主とする体の中の気の乱れが、補瀉を通じて、ある程度、収まってきたようである

整体的な手技を併用

こうしてエネルギー的な調整を進めたあと、今度は整体的な手技により、骨と筋肉への柔らかなアプローチを試みた。右脚大腿、膝、下腿のほぐし。股関節は当初固くて動きが悪かったが、少しずつ動くようになる。内に入っていた右膝のラインが幾らか改善し、動きも良化。続けて、疲労度が目立つ左脚を、同様にして調整。さらに、胸部、肩部のほぐし、調整。当初、胸部は張りついたようになって動きが悪かったが、時間をかけて、ていねいに施術していった結果、左肩の痛みがかなり取れてくる。ただし、側頭骨乳様突起部に触れると痛いという

続けて、伏臥位になってもらい、同じようにしてほぐし、調整。上背部も、皮膚が張りついたようで、柔軟性に大きくかける。そこで、下半身のほぐしをていねいに進めたあと、背部を念入りにほぐす。その結果、少しずつ柔軟性が出てくる。次いで、後頚部から後頭部のほぐし

そして再度、仰臥位になってもらい、前頚部ほぐし→乳様突起部ほぐし→第一、第二肋骨部ほぐし→顔面部ほぐし→後頭部ほぐし→頸の調整→後頭部への手掌による手当療法、と施術を進める。この結果、顔の左右のアンバランスも徐々に改善してくる

体が軽く、自分ではないよう……

術後、当初に比べ、姿勢が明らかに良くなる。チャクラと内臓にみられた変調も、ひとまずは解消された。本人に聞くと、体が軽くなり、自分ではないような気がする、とても楽だ、とのことであった

本人には、姿勢が体の健康に様々な面で大きな影響を与えることを伝え、できれば事務所でのパソコンの位置を改めるのが一番だが、もしそれが難しいような場合は、30分置きにでも体の向きを反対に動かし、バランスを整えてもらうよう忠告。一週間後に、再度、来院してもらうことに

腰の辛さも解消

施術二回目。本人に、その後の様子を聞くと、手と左肩、膝は随分楽になったとのこと。確かに、姿勢は前回に比べると、相当に良くなっている。それもそのはず、パソコンの位置は変えられなかったが、言われたとおり、体が一方向に偏ることのないよう、時間を見つけてはこまめにバランス調整を心がけてきた、との話で、その成果が大いにあったものと思われる。ただし、まだ腰が反ったような感じが残り、仰向きになって寝られない。坐った状態から立ち上がるときに、右腰に痛みが出る。足も相変わらず冷えるという。チャクラをみると、レベル的にはいささか低調でも、とりあえず正常の範囲内に収まっている。しかし経絡のほうは、腎経絡等に依然、変調が見受けられる。念のため、圧痛のある右腰部を、水晶のペンジュラムを使ってテストしてみると、正常回転はしているものの、エネルギー的にはたいへん小さな動きにとどまっていた

伏臥位。上背部左側にハリと、腰部右側に強いコリがあり、まだ側弯が残っている。試しに腰部右のコリをほぐして、背骨の弯曲を是正するように他動的に左にもっていくと、腰の痛みが軽くなるという。そこで、背骨の弯曲をていねいに調整→下半身を整体手技。とくに大腿前部の圧迫感を少しずつ取り除く→肩から後頚部にかけて、ほぐし

仰臥位。胸郭部ほぐし。前回よりは明らかに改善傾向にあるが、まだ部分的に残存しているハリを調整→股関節の回旋、ほぐし。とくに左脚回旋時に右腰に圧痛が出るのを、ていねいに調整→前頚部から顔面部にかけて、ほぐし、調整。顔面部では、目の下のツボ、胃経の承泣、四白に圧痛があるのを、足の第二趾胃経のツボ(厲兌)を爪もみして解消、また、耳珠の前下方のツボ、胆経の聴会に圧痛が出るのを、足の第四趾の胆経のツボ(竅陰)を爪もみした結果、痛みの度合いが軽くなる→後頭部への手掌による手当療法

術後、姿勢はさらに良くなり、本人も、体が軽くなり、楽になった、と笑顔で感想を述べられる。水晶ペンジュラムで右腰部をチェックすると、エネルギーレベルは当初の小から大に変わっていた

20日後に三度目の来院。その後の状態を聞くと、腰はだいぶん楽になったとのことで、仰向きでも寝られるようになり、手や股関節、右の膝も状態はかなり良く、自転車にも乗れるようになったという。また、足の冷えについては、職場の暖房を少し上げたことで、改善傾向にある、との話だった

三回目の施術では、肺経絡と膀胱経絡の調整、並びに腰椎と股関節、背部の調整などを主に、前回、前々回と同様に、効果がより持続するよう、全身のケアをていねいに行なっていった

<考察> ゆがみは、体のあらゆる不調を招きかねない。根本の対策は、やはり自助努力し、体を整えていくこと

今回、施療で用いた膀胱経絡は、目の近くから後頭部を経て、背中では脊柱起立筋に沿うようにして腰、仙骨・臀部へと下行、膝裏から足へと流注している。姿勢の保持に重要な役割をもつとともに、内臓とつながるツボが並んでいて、臓器の働きとも関係が深い

この膀胱経絡と表裏の関係にあるのが腎経絡で、足裏から体の正中ラインに沿うような形で上行し、鎖骨内側、舌のほうへと流注。こちらは、生命エネルギーを蓄え、五臓六腑に供給し、その働きを維持するという、これまた重要な役割を担っている

今回のケースのように、背骨が側弯し、体にゆがみがあるということは、明らかに、これらの腎・膀胱経絡のスムーズな働きを阻害するもので、その意味では、体にどのような不調が現われても、やはり不思議ではないだろう

そこで、本事例では、肺・大腸経絡も用いながら、エネルギーの調整から始めた。ちなみに、肺・大腸経絡は、腎・膀胱経絡と母子関係にある経絡で、母親である肺・大腸経絡がしっかりすることで、その子の腎・膀胱経絡も益を受ける、とされる。また、肺・大腸経絡は、その流注から、手、腕、肩、胸といった部位と関係する経絡でもある

エネルギー調整から始めた理由は、チャクラと内臓に変調が強く見られたことから、脊柱起立筋など姿勢を保持する筋肉や骨を調整する前に、もっと内部のエネルギーレベルの乱れを正すことが先決だろうと思われ、FT(フィンガーテスト)でも、それが裏打ちされたためでもあった

結果的に、体のあちこちに感じられた不調は、徐々に解消に向かうことができたが、その一番の要因は、体のゆがみが不調の原因をつくっている、とご本人が理解され、その是正に気を配り、日々努力を怠らなかったことによるものだと思う。そうした自助努力を欠いては、本来ある自然治癒力もけっして実を結び、形あるものにはならないのではないか。そんなことを、改めて教えてもらったように思っている