アトピー、眼瞼下垂で困っています……
首の周りがかゆくて、つい、かきむしってしまう。目が開けにくい……そんな切実な訴えの背景にあるものは?
<つらいアトピー症状と眼瞼下垂をなんとかしたい……>
該 当 者: 20代 女性
該当部位: 顔から首にかけて
訴 え: 首がかゆい、瞼が上がらない……
<見立て~施療>
冷え取りを始めたが、めんげん反応が出てきた…
知り合いの紹介で遠方より来院。4か月ほど前から、アトピー症状がぶり返し、困っているとのこと
お話を伺うと、アトピーに最初かかったのは小学生時代で、そのときはストロイド系も含め、薬で治療。高校生の頃には良くなっていたが、大学を出て、社会人生活が始まると、仕事のこととかいろいろストレスを感じるようになり、調子が悪くなってきた。お医者さんに行くと、薬はくれるけど、ただそれだけで、そのほかは何もない。なにかその場しのぎのような気がしてしまって…。本当にこれで芯から良くなるのだろうかと心配になって、始めたのが「冷え取り」。ネットなんかで、足湯や半身浴、靴下重ね履きなどをして冷え取りをすると良いという声があるのを知って、講習会にも出かけて始めた
講習会では、自己中心的にならない、食事は腹八分目にする、心の毒(心の冷え、ストレス)を出す、といったことを聞き、実践してみようと思った。やってみて、確かに下半身が冷えているんだとわかったが、開始して1か月ほどすると、めんげん反応(病気が治る過程で一時的に症状が悪化する好転反応)がひどくなって、とてもつらい。首の周りから鎖骨の辺りにかけて湿疹が出て、かゆくてたまらない。ついつい、かきむしってしまう
瞼が開かず、目が重い…
そうこうするうち、今度は目が開けにくくなり、目の辺りがずっしり重い。病院に行くと、眼瞼下垂という病気で、悪くなると治すには手術しかない、と言われた…。できれば手術はしないですませたいが、それはそれとして今はなにより、アトピーがつらくて、つらくて、なんとかならないだろうか、という切実な訴えだった
体の多くの部分に不調が…
立位で観察チェックすると、関節部の多くに、詰まりが感じられる。リスト部分でチェックすると、経絡的には肺・大腸経、心包経、腎・膀胱経に問題が窺える。チャクラをチェックすると、3番から6番にかけて異常回転。腹部の気感チェックでも、多くの臓器に不調が感じられる
FT(フィンガーテスト)では、前面胸腹部に主たる影響部があると出たが、念のため、伏臥位にて、頚から仙尾骨にかけて、脊椎の状態を軽く触察。左肩甲骨内側から胸椎11番にかけて張り。そこから腰椎2番にかけて右側に張り。右腸骨上部、仙骨の右側に張り
体を軽く動かしてみると、仙骨部が右に動揺。胸椎10~12番、左に動揺。影響部は仙骨のほう。次いで、頚の動揺をみると、上から右、左、右、右、左…と細かく左右に動揺
目の玉ひとつの動きが体に影響を及ぼす
後頭部に触れると、側頭骨乳様突起、上項線の各部両側と外後頭隆起に圧痛があり、圧痛は特に右が強い。試しに、目の玉を左に動かしてもらったところ、この圧痛が消える。どうも、目の玉を右にする癖、生活習慣がありそうだ
目の玉の動き一つでも体全体に影響を及ぼしかねないことを注意し、気をつけてもらうよう促したあと、背部にある張りを時間をかけて丁寧に調整。体の動揺がある程度収まったところで、仰臥位に
エネルギー調整で皮膚のかゆみと目が楽に
腹部を軽く触察したところ、左季肋部の肺経対応部と左腸骨稜内側に強い圧痛。念のため手足の井穴をチェック、大腸経と腎経に変調。右手大腸経商陽と左足腎経湧泉に補のエネルギー調整を施したところ、腹部の圧痛が軽くなり、胃の水音が収まる。腹部が柔らかくなり、同時に首のかゆみもある程度収まる
但し、目の状態にはさほどの変化は感じられないとのことなので、目は東洋医学では肝経に関係することから、足の肝経大敦に右足は補、左足に瀉のエネルギー調整をしたところ、目が軽くなり、楽になったと本人の弁
体の各部をほぐすと、やがて眠りに
そののち、腹部から胸部のほぐし。鎖骨上部に圧痛があるのを、顎から耳にかけて、ていねいにほぐしていくことで、圧痛が消失
側臥位で、右肩から右腕にかけて、ていねいにほぐし。次いで、同様に左肩、左腕のほぐし。仰臥位で、顔面部から後頭部をほぐした後、後頭部で手当。本人、眠り始める
結局、施療時間は、遠方から来院され、通院を重ねるのも大変だろうとの判断で、4時間余りを要したが、術後は、本人の姿勢も良化。顔の肌艶も各段に良くなる。チャクラの回転も正常化。腹部の気功チェックでも概ね良好に。但し、立位での関節部チェックでは、足、膝など一部に変調が残るのと、体の上部(上焦)と心包経絡にも、まだ問題が残っていることが窺える。そのこと(万全ではないこと)とともに、冷え取りをしっかり続けていって欲しい旨を伝える
もっとも、本人の感想は、とても体が楽で気持ちがいい、気分もスッキリしている、とのことで、眠っているときに一瞬「無」の感覚があった、という言葉が印象に残った
再び、不調が襲ってきた、明け方まで眠れない…
7か月後、二回目の来院。この間の様子について聞くと、前回の施療のあと、体の調子が良く、あれほどあったかゆみも赤みもなくなり、肌もきれいな状態に戻った、そんな状態が5か月間ほど続いた。しかし、その後、また調子が悪くなり、顔の側面がボコボコしはじめ、アトピーが戻ってきているように思う、顔のほか、首、肘、二の腕がかゆく、右側のほうがつらい。薬は塗っていない、冷え取りを続けている、と言う
とくに今一番の苦痛は風呂で、ぬるめのお湯でもヒリヒリする。寝ようとしてもかゆみが勝って、ずっと掻いている。外が明るくなってからようやく眠るような状態。目の周りに隈が出来て、まぶたを無理にでも上げようとする結果、肩こりがひどい。肩甲骨ストレッチをやっているが痛い。上を見上げるのも辛いときがあった……
汗をかきにくい体質、便秘…
そこで、再び、立位から観察チェックを始めると、関節部に多くの詰まり。胸部が前に出て、臀部が引けている状態。経絡的には肺・大腸経、腎・膀胱経、心包経、心経に問題。チャクラは、3番から7番にかけて異常回転。腹部の気感チェックでも、多くの臓器に不調が感じられる
肺・大腸経、腎・膀胱経変調の連想から、汗をかくかどうか尋ねると、昔から汗をかかない体質で、ジョギングとかすると汗は出るが、そうするとかゆくなって辛いのだと言う。また、トイレについて聞くと、便秘ぎみで、一時は4~5日間出ないこともあったと言い、腸のマッサージをしてみたり、納豆など整腸作用の高いものを食べるようにしている、とのことだった
水晶、天然石でチャクラを調整
前回同様、体の多くの部位や経絡に問題を抱えていることから、どこから着手すべきかをFT(フィンガーテスト)でみると、後頭骨が主影響部と出てきたので、伏臥位からスタート。右後頭部の上項線の下辺りに強い圧痛があり、頸椎は2番と6番が左に振れている以外は右に動揺、胸椎は上部が概ね左に行き、下部から腰椎が右に、仙骨は反時計回りに回転
上記チャクラの変調を念頭に、試しにアメジスト(紫水晶)のポイントを右後頭部の圧痛部分に瀉の方向で当てると、圧痛が緩和し、仙骨部の回転の動揺や胸椎・腰椎の動揺が収まり、背中の右肩から左腰にかけてあった斜めのラインも伸びやかになる。但し、側頭骨乳様突起部に触れると、左右とも圧痛が残ることから、さらに手技で、脊椎、仙骨を調整。下半身のほぐし、足裏のほぐし、後頚部、後頭部のほぐしを行なったところ、左乳突部の圧痛は消えたものの、右側は依然残ったまま。仰臥位に変えて、調整を続けることに
仰臥位にて。腸骨は左が頭方に、右が足方に動揺、また両側が固く内に閉じない状態にある。まず、左右の上下の動揺を軽い圧の手技で調整したあと、右脚から左脚のほぐし。脚回し。足の甲と足裏をほぐし。両膝を立てて胸に屈曲。この結果、腸骨が内に閉じるようになり、望ましい可動性が出てくる
続いて、腹部の調整。軽く触察するだけで圧痛を感じる部位が数か所あり。そこで、右側の側頭骨乳突部にアメジストを置くと、数か所を除いて、圧痛が楽に。下腹に残った圧痛は、同部の第2チャクラに対応するとされる天然石のカーネリアンを恥骨の上部に置くと、一気に圧痛が取れ、楽に。また、右肝臓部の圧痛等は、腹部太陽神経叢、第3チャクラに対応するとされるシトリン(黄水晶)で楽になる
側頭骨乳様突起部の圧痛がようやく解消
胸部の圧痛は、指を使った補瀉のエネルギー調整をしたところ、これも楽になる。手足の井穴をチェックしたところ、変調部位は見当たらず。気の流れも、ある程度調整された模様
次いで、前頚部から顔面部、側頭部を手技でやさしくほぐし
先に残っていた右側頭骨乳様突起部の圧痛と、耳珠前の圧痛は、頚骨左辺の強い張りをほぐすことで、ようやく解消
自律、三叉、副神経等にアプローチ
また、自律神経に関係が深い蝶形骨大翼と、三叉神経・迷走神経・副神経等とつながりをもつ蝶形後頭底の偏位を、手技で調整。ちなみに、三叉神経は顔面・前頭部の知覚と関係し、迷走神経は内臓の働きと関係し、副神経は頚、肩の緊張と関係するといわれる神経である。この調整を終えたのち、後頭部を手当。前回同様、本人、眠りに落ちる
結局、今回も施療に3時間半ほどを要したが、術後のチェックでは、当初窺われた関節部位や経絡、チャクラ、臓器の変調はひとまず良化に転じる。姿勢もスックと立てており、顔の色艶も明らかに良くなっていた。本人も体がとても楽で、気持ちよく自然に眠れた、かゆみもなく、目も大きく開けられると喜んでいた
(次回013に続く)