筋・骨連鎖事例:腰の痛みの原因は母趾にあった……

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筋・骨連鎖事例:腰の痛み画像

腰の痛みを筋肉と骨の変調を辿りながらみていくと、足の親趾が実は影響を与えていた……

前回は、筋肉と骨の異変が連鎖して広がる仕組みについて述べた。今回は、それに続いて、筋・骨連鎖を辿った、わりあい初期の施療事例を、いささか味も素っ気もないが、要点列記風の記録として残しているので、それを紹介してみたい

<右腰に張りが……>

該 当 者: 50代 女性
該当部位: 腰椎右側
訴  え: 腰椎の右側が痛い……

<見立て~施療>
うつ伏せになってもらいチェックすると…

ベッドに伏臥になってもらい、観察すると、右足の内反と膝(股関節)の内旋傾向が著しく、踵を揃えると右足関節が背屈(踵は下へ)しているのが気になった

痛みを訴えている腰椎の右側には最長筋のラインにこわばりがあり、その上(頭方)にゆるみ過ぎが三か所ほどあった。まず下のほうのゆるみ過ぎを締めると、こわばりが消えた。次いで、肩のほうのゆるみ過ぎと比べてみると、下のほうがむしろ影響部であることがわかった

試しに反対側をみると、腰椎の左側にこわばりがあり、このこわばりが右側のゆるみ過ぎに影響を与えており、左の腸骨を診ると、上に動揺していた

左の大殿筋をみると、案に相違してこわばりがあり、このこわばりは腸骨が上に行くことで緊張状態にあると推理された

腰椎の左右の変調が解消

そこで、左の腸骨を上に上げる原因となっていると思しきゆるみ過ぎの箇所を求めて右の大殿筋をみると、ここにゆるみ過ぎがあり、ここを締めると、腸骨の動揺も収まり、腰椎の左右の変調も解消した

右の大腿二頭筋をみると、若干ゆるみ過ぎのような気配が窺われ、右の腓骨頭をみたが、あまり動揺はみられず、長腓骨筋やヒラメ筋のラインはあまり関係なさそうであった

原因は足先のほうに

そこで右の膝(股関節)が内旋していることに着目し、内旋筋である半腱半膜様筋をみたもののあまりよくわからず、続いて外旋筋である内転筋をみるとここにゆるみ過ぎがあり、これを締めると、先の右の大殿筋のゆるみ過ぎが止まった

次に、右足が内反し足関節が背屈していることから、前脛骨筋の関与を疑い、右の内側楔状骨と第1中足骨の底面をみたところ、中枢側への動揺がみられ、前脛骨筋にこわばりがあるのがわかった。そして、この前脛骨筋のこわばりを弛めたところ、先の内転筋のゆるみ過ぎが解消し、どうやら原因は足先のほうにあるように思われた

足裏を調べていったところ、ゆるみ過ぎの箇所があり、さらに足趾をみたところ、母趾が抜けるような感触があり、趾先を診ると、いわゆる(肝経絡の)大敦の位置に顕著なゆるみ過ぎがあり、これを締めたところ、前脛骨筋のこわばりがとれ、内転筋のゆるみ過ぎや大殿筋のゆるみ過ぎ、反対側の大殿筋のこわばりと、腰椎左のこわばり、さらには腰椎右のゆるみ過ぎとこわばりも解消された。肢位を変え、当てた指を替えてもゆるみ過ぎは変わらなかったので、ここを施療ポイントと定め、指をあてておいた

腰のみならず長年の骨盤の不調もやわらぐ

10分以上経過した段階で、腰のほうの具合がよくなったばかりか骨盤のほうもなにか調子がよいとの反応が得られた

女性の話によれば、母趾をよく浮かせて立っていることがあり、そのことが長年の骨盤の不調や今回の腰痛の原因になっているのかと驚いていた