10年間悩み苦しんでいる手足のしびれをなんとかしたい……(続)

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前回から11日が経過、施療直後には手足のしびれは大幅に減ったが、その後またぶり返してきている……

<手足のしびれが、ぶり返してきている……>

該 当 者: 30代 女性
該当部位: 手足
訴  え: 10年間悩み苦しんでいるしびれをなんとかしたい……

前回017より続く

⇒ 10年間悩み苦しんでいる手足のしびれをなんとかしたい……

前回の施療から11日しての二度目の来院。早速、その後の経過についてお聞きすると……

施療を受けてから2、3日は非常によかった。体が軽くなり、しびれを感じない日もあった。しかし、だんだんぶり返してきて、かつての非常に困ったときほどではないにせよ、しびれが増してきている。10段階で評価すると、左足は0~2であったのが、今は7~8に。とくに足先から大腿にかけて、つらい。左手は、0が3程度になっている。肩の付け根から腕の外側、指全部がつらい。左手と左足では、足のほうがつらい。右手と右足は比較的大丈夫。そのほか気になることは、2日ほど前から、両足の踵が何もしなくてもズキズキすること

<見立て~施療>(2回目)
仙骨部が左回転している…

前回と同様に、立位の姿で体をチェックすると、前回全身に及んでいた関節各部での気の詰まりが7割程度に減少。左右のバランスも、右肩が少し前に傾き、背中側から見ると、若干右肩が下がり、左肩が上がっているものの、前回に比べるとよくなっている。リストの経絡チェックでは、前回同様、肺・大腸経と腎・膀胱経に異常が残る。腹部を観察したところでは、依然多くの部位に変調が窺える。チャクラチェックでは、前回あった非正常回転はなくなったものの、エネルギー的には総じて小さく、弱い

伏臥位になってもらい、みると、前回は左膝が強く内に入っていたのが、今回は右膝が強く内に入っている。骨盤部の動揺も、これも前回とは違い、左に振れている。ただ、仙骨下部から尾骨にかけては右に振っており、仙骨部が左回転している模様。肋骨部は、前回と同じく右に動揺。頸は、上部が右へ、中部は左へ動揺。ただ、総じて、体のバランスは前回より整っている

本人の話にあった踵をみてみると、両足とも圧痛がひどく、特に右踵のほうが強い。前回したのと同様、ベッド面に押されている右腸骨を挙上すると、右足踵の圧痛は軽くなるも、腸骨が浮いているほうの左足踵の圧痛は変わらず。右に振っている仙骨部から尾骨を左にもっていくと、左足踵の圧痛は楽になるが、今度は右足に圧痛が現れる

ハテ?と思い、右腸骨を足方へもっていくと右足踵が楽になるので、左回転している仙骨部を逆回転させると、両足踵ともに圧痛が軽化。左膝から左足にかけてのシビレも2~3のレベルまで和らぐ。加えて、仙骨下部の左側にコワバリがあるのと右斜め上にユルミがあるのを補瀉調整(生命エネルギーの流れの調整)したところ、両膝がともに楽になり、左膝から左足にかけてのシビレは0になった

足の裏が首、肩のコリと関係…

続けて、足裏の指先に目をやると、両足とも第1指が第2指の下(床方向)に入り込んでおり、第2、3指の下(踵方向)辺りと小指側に皮硬した箇所が見受けられる。ちなみに、第2、3指の下(踵方向)辺りは僧帽筋の反射区に当たるとされており、このことが首から肩にかけてのコリと関係しているのかもしれない。そこで両足裏をていねいにほぐし、ホットパッドを置いて温めるようにしたところ、上背部両側の張りが弛んでくる

側頭骨乳様突起部周辺に強い圧痛…

そのほか上背部では、右腸骨上部や、胸椎下部右側と胸椎上部左側の張りなど、気になるところをていねいにほぐした後、僧帽筋から顎、側頭部をほぐす。なかでも側頭骨乳様突起部から顎関節、下顎骨関節突起周辺には、左右ともに圧痛があり、右のほうがかなり強い。そこで、右手第1指の肺経少商と左手第2指の大腸経商陽の間で補瀉調整(生命エネルギーの流れの調整)をしたうえで、水晶のアメジストを使ってほぐしていったところ、圧痛がともに取れてくる。本人曰く、左手のシビレの3が2ぐらいになったとのこと。このあと、後頚部をていねいにほぐし

水晶を使って腹部ほぐし…

仰臥位。骨盤をみると、まだ少し左側に振っており、左腸骨を右へもっていくようにすると、本人、とても楽になると言う。そこで、腰を軽く右に揺するようにすることで、体幹が整ってくる。脚ほぐしから腹部へ。臍付近にシコリ状の感覚があるのを水晶のシトリンを使ってやさしくほぐし。続けて、胸骨部をみると、頭方へ動揺しているので、腹部に軽く圧をかけて締めるようにしたところ、胸部が楽になり、前回と同様、ここにホットパッドを置いて温める

続けて、側胸部から腋下部、前頸部へと移り、圧痛の強かった右側頭骨乳様突起部や顎関節、下顎骨関節突起周辺から顎にかけてていねいにほぐし。その結果、左手のシビレが消えた! と本人の言。その声を聞きながら、顔面部へ。承泣、四白、地倉という胃経絡の経穴(ツボ)に圧痛があるのをやさしくほぐし。そのあと、後頭部に両掌を当てて気を送っていたところ、本人はとても気持ちよさそうに目を閉じていた

術後、本人に聞くと、体が軽く、とても楽、シビレもいっさい感じないという。確かに、姿勢が良くなり、顔色も見違えるほどよくなっていた。小さく弱かったチャクラも、強くしっかり右回転するように変化していた。ただ、術後のチェックでは腎経絡ほかに一部依然変調が残っており、この点が気がかりではあった

<見立て~施療>(3回目)
手足のしびれが消えた!

8日後に三度目の来院。気になっていた手足のしびれについてお聞きすると……

あれからしびれが全然なくなった。手も足も。 すごい! と、びっくりしている。あの10年間の苦しみ、悩みはなんだったのかと思う。低かった体温も、36.4度と安定している。いま気になるところは、何もない。本当にありがたく、感謝している

と当方も驚くような報告を、明るい声でしていただいた。とはいえ、前回、腎経絡ほかに問題を残していたので、あらためて体の状態をチェックすることに

体のバランスは整いつつあるが、まだ問題も…

その結果、本人の感想は感想として、関節各部での気の詰まりは右半身を主にまだ残っており、リストチェックでも肺・大腸経と腎・膀胱経に変調が窺える。ただ、チャクラのほうは、第1から第7にかけて正常回転しており、勢いも並~強のレベルになっていた

伏臥位でみると、体の動揺は、骨盤部と肋骨部に少し動揺がある程度で、かなりバランスが整いつつあることが窺われる。ただ、脊柱をみると、上部右側と腰部右側、仙骨下部の左側に張りがある。FT(フィンガーテスト)で影響、被影響の関係を探ると、上部が影響部であり、事実、上部を主にほぐしていったところ、腰部が楽になり、仙骨下部が柔らかくなってきた。本人も、そのことがよくわかる、という。また、両肩の胆経肩井に圧痛があったが、こちらのほうは、足の第4指の胆経竅陰の経穴(ツボ)を刺激したところ、圧痛が弱まる。その結果、上背部にあった軽い動揺も収まり、頸部の上部、中部の動揺もとれて、安定してきた

脾経のツボ三陰交と血海に圧痛…

続いて、下半身をみると、股関節、膝関節、足関節に、前回ほどではないものの、まだ固さが窺われ、外反母趾も相変わらず残っている。それらをていねいにほぐし。そうしたなかで今回新たに、左脚の脾経絡三陰交と血海、右脚の三陰交に圧痛のあることが判明。脾経絡は胃経絡と表裏の関係にあるいわば姉妹経絡であり、前回、顔ほぐしをした際に、胃経絡の承泣や四白、地倉に圧痛があったことと関係しているのかもしれない。また、三陰交は足腰の冷えと痛みなど、血海は血行促進などに効くとされる経穴でもある。このニ点の圧痛への対応は、やりやすい仰臥位で施術することにして、その前に後頚部と後頭部のほぐしを行なう。そののち、仰臥位になってもらい、子細にみると、この圧痛部分に気(生命エネルギー)の逆流現象がみられることがわかり、その部分を軽打して調整したところ、気の流れが正常化し、圧痛が消えた

生命エネルギーの流れの調整で変調がとれる…

ここで、念のため、先に変調が窺われた肺・大腸経と腎・膀胱経の状態を手と足の指先の関係する経穴で再確認してみると、依然、変調は残っており、こちらについては影響部である腎・膀胱経の経穴である太谿と攅竹、京骨と攅竹を結んで補瀉調整(生命エネルギーの流れの調整)をしたところ、ようやく変調が消えた

こののち、腹部から胸部、側胸部から腋下部にかけて、改めてていねいにほぐし。肩・肘部から前頸部をほぐし。次いで、顔面部をほぐしたのち、前回同様、後頭部に両掌を当てて気を送ると、やはり気持ちよさそうにされていた

術後、本人に聞くと、前回同様、体がとても軽くなり、スッキリしているとのこと。顔色もいい。改めて関節各部の気の通りをチェックすると、変調が消えており、経絡の問題もひとまず解消していた

<考察> 原因不明といわれても決してアキラメナイ! 自分で自分の健康を創っていこう!……

お母さんから娘さんの手足のしびれについて初めて相談を受けたとき、正直にいって、複数の病院で、長い間原因不明とされたことに驚かされた。というのも、手足のしびれはほとんどの場合、脊髄から出た神経がなんらかの圧迫等を受けて起こると、整体学校で学んでいたからである。その圧迫を受けている箇所を上手にゆるめることができれば、特別な場合を除き、しびれはなくなるのではないかと、いささか能天気に思っていた

実際、そんな思いを抱くことになる体験もした。ある主婦から、朝、手がしびれてしまって、指を動かせない。困っている、これでは、料理も、洗濯も、掃除もできそうにない。どうしたものだろうかという相談を受け、見ると、確かに指がこわばっている。そこで、試しに首にさわってみると、微かに異常が感じられる箇所がある。そこで、その部位をさすり、軽く触れていたところ、アレッ、指が楽になった。ワッ、動き出した。エ~、なぜ?? とビックリされたことがあった。時間にして、5分ぐらいの出来事である。このときの体験は、このホームページの別の記事でも触れたとおりである

⇒ なぜ予防重視のサークル活動なのか

だから複数の病院で原因が特定できなかったということは、よほど難しい何かがあったのかと驚いたのだが、たまたまそんな体験をしたことがあったので、それをお母さんにそのままお伝えしたところ、結果はともかく、一度みてもらえないだろうか、ということとなり、この度の来院、施療ということになった

その後の経過は、前回と今回の記事で述べたとおりである。結果として、幸いにも、手足のしびれは消えたのだが、なぜ設備が整い、専門のお医者さんがいる病院で、同じような結果を導けなかったのだろうか。いささか不思議な気がしてならなかった。そんな思いがあったので、3回目の施療を終えたとき、ご本人に率直にお聞きしてみた。「お医者さんは体に直接触ってみてくれましたか」と。すると、それは1回もなかった、ということだった。もっぱら現代の進んだ検査器具による診察だったようである。当方でやったことは、話をよく聞き、人間の感覚に頼ったある意味非常に素朴なやり方でしかないのだが、翻ってこうしたやり方で、現実にシビレが消えたということは、やはりこのような施療法もけっして捨てたものではないということを教えてくれるものなのかもしれない

また、病名がつかないがゆえに病院から退院を迫られた折りにご本人がみせた自助努力の精神! 2、3メートルを歩くのに30分ほどかけてでも歩こうとされたお話を伺ったときは、思わず目頭が熱くなってきた。この頑張りぬく強い精神があったればこそ、今回の困難も、ひとまずは乗り越えることができたのだと思う

喉元過ぎれば熱さ忘れる、にならないために……

それはそれとして、ただ、今回の施療を振り返って改めて思うのは、なぜ、シビレは起きたのか? という事の本質である

残念ながら、このことについては明白、明晰には把握できていない。ただ、足のほうのしびれは、どうやら右腸骨上辺の圧痛と、左仙腸関節部と下部尾骨よりの圧痛が大きく影響していたように思われる。これはいわば器質的な問題に近いものかもしれず、姿勢を良くするとか、外反母趾等の気になる部分をよくケアするとか、全身の関節をよくほぐし、体を柔軟にしていくなどに自分自身で努めていけば、今後とも対応できる可能性があるようにも思う

しかし、手のほうはどうなのか。手のしびれは首からきていることが多いので、実は施療に際しては、かなり気を使い、入念にみたつもりだったが、感覚的にあまりコレというものには出合わなかった。むしろ、オッと思ったのは、側頭骨乳様突起部から顎関節、下顎骨関節突起周辺にかけての強い圧痛である。とくに右側は尋常ではない痛がりようだった。また、右肩から首にかけての張りも強かった。この辺り、耳の周辺から首、顎にかけて緊張があるというのは、咬筋や斜角筋、胸鎖乳突筋などを拘縮させ、そのことが直接的にとまではいえないにしても、器質的に手のしびれにもつながっていたのかもしれない。足に比べて手のほうがしびれの度合いが低かった、というのも、頚髄への圧迫の度合いが頸椎から遠い分少なかった、ということにつながるのかもしれない

とともに、精神的なこととの関係性もあるのかもしれない。たとえば、何かがあって、グッと歯を噛みしめる、とか。しびれが起きたのは、お話によれば、仕事に就いたときとか、仕事を変わったときであるようだ。そのような環境上、生活上の変化が、あるいは心のありように影響を及ぼした可能性はないのだろうか

もし、このように精神的な問題に起因するということであれば、体に加えて、心の面でも、柔軟性を養っていく必要性があるのかもしれない

今回の施療はとりあえずこれで終わったが、機会があれば、そんな、いささか取越し苦労的なお話もし、心身を自らコントロールする方法として、気功や太極拳をやられては、とも思う。気功や太極拳は、どちらも、心身の緊張を解きほぐし、自分自身の健康や可能性を広げてくれるのに最適と思うからである。喉元過ぎれば熱さ忘れる、つらい症状がひとまず消えればそれで良し、終わり、とするのではなく、むしろ今回の経験をひとつの貴重なきっかけとして、個人的により逞しく成長していただければ、と心から思う。ちょうど、先の記事「なぜ予防重視のサークル活動なのか」で野口晴哉氏が述べているように。もっともご本人は子育てに、仕事に結構忙しくされているようで、時間的になかなか大変そうだが……