「五臓の音符」講習会に今年も参加してきました!
昨年の講習に続き、今年は脾臓と肺臓の小煉形の意味とやり方について学んできました。その概要と感想についてメモ書きしました……
直近の「ニコニコ太一通信」でも速報しましたが、昨年に続き、今年も張明亮先生の「五臓の音符」(五臓小煉形)の講習に参加してきました。
落ち着いた雰囲気の臨済宗のお寺の中で
会場は、昨年あった清澄庭園大正記念館から程近い深川の慧然寺。ここは臨済宗円覚寺派の禅宗のお寺で、ちなみに張明亮先生は峨眉臨済宗丹道医薬養生学派の第十四代伝人でいらっしゃいますから、同じ臨済宗というのは、まさに奇縁ともいうべきでしょう。
好天の下、明るい日差しの中で、改装なったばかりの落ち着いた雰囲気の畳敷きの本堂で、10時から早速、講習のスタートです。
昨年の講習では、発声により体内(臓腑)を振動させる基本のやり方と、その振動が及ぼす体の内外への影響を感じ、観察すること、それを踏まえたうえで、肝臓と心臓の、功後導引を含めた煉功(小煉形)のやり方について学びました。
印象に残ったことは……
今年は、それらに続き、脾臓と肺臓の小煉形について、学びます。
これまでと同様、いろいろな具体例を引きながら、初心者にもわかりやすく、東洋医学(中医学)の五臓の概念から始まり、脾臓、肺臓の働きの意味と具体的なやり方について、大切なポイントを中心に教えていただきました。
その詳細はさておき、ここでは受講して、個人的に印象に残ったことやら、ありがたかったことを、2、3、記しておきます。
一つには、いささか些末で技術的なことですが、吟唱する際に、吸う息、吐く息で、個人的にはどこか一息置いて、つまり若干の間を置いて発声するきらいがありました。しかし、これはどうやら、吸→吐を、ひとつながりのものとしてしたほうが、よさそうです。そうすることによって、体内に振動を持続して響かせる効果が高まるようです。張先生が実際にやられるのを見聞きして、そのように感じました。
二つには、五臓小煉形では、臓器ごとに音の高さと長さを記した吟唱図(音符図)が用意されていて、それに囚われるところがあったのですが、これもそのことにあまり拘泥せず、まずはしっかり大きく(張先生によれば、恥ずかしがらずに)発声し、十分に声音を響かせること、そしてその該当する臓や体内、周囲への効果をよく感じとること、に重きを置くべきことの大切さを実感しました。
これは、とくに肺臓小煉形において、声音を体内から天井に向かって届け、それを四方の壁に伝え、下ろし、体の真ん中を下ろしていく、というやり方を実地にご指導いただいた際に、成程! と腑に落ちるところがありました。
先生のご著書(『五臓的音符』)を読めば、実は、大切な勘所が相当に細かく説明されているのですが、こうしたちょっとしたことが、その理解をより深めてくれるように思います。本やCDだけでなく、やはり実際の講習に参加して直に味わってみることの大切さを、改めて感じました。
ありがたかった実習用DVD
もう一つ、ありがたいと思ったのは、五臓小煉形の実習用DVDが用意され、会場に置かれていたこと。講習では、功後導引も含め、細かなやり方までは、時間的な制約もあり、痒いところに手が届くというところまではいきませんでしたが、DVDがあることで、大変助けになりました。『五臓的音符』の本には、やはり重要な勘所が詳細に説明されているのですが、実際に目で見て、動作のひとつ一つを確認できることは、大変助けになります。自宅に帰って、DVDを見ることで、そのことが実感できました。
自宅実習での雑感
さて、5月12日に講習を受けてから、ほぼひと月が経過しました。その後、自宅では去年、今年と講習を受けた肝、心、脾、肺の各臓に加え、腎臓小煉形(腎臓小煉形は、音符的吟唱方法はなく、意念が中心となる)も加え、『五臓的音符』に付属したCDを聞きながら、できるだけ実習するように心がけてきました。
そこで、極めて個人的な感想というか、当を得ているかどうかも定かでない、いささか手前勝手な雑感にしか過ぎませんが、ひとまず感じたままをメモとして残しておきたいと思います。
一番目に強く感じたことは、この五臓小煉形は、吸気、呼気と深い呼吸、それも逆腹式呼吸に胸式呼吸を加味したような呼吸を繰り返すことで、横隔膜と骨盤底筋、腹横筋などのインナーマッスル(深層筋)を大いに活性化し、内臓の代謝を良くするほか、横隔膜、外肋間筋等が動かされることで、肺機能も高まり、生命力を高めるのに効果的であるように思われます。
二番目に、吟唱を繰り返し、体を響かせることで、体を楽器にする、体に音階を形成するような感覚が芽生えてくるような気がします。
体と音階ということでいえば、日本語のア、イ、ウ、エ、オは、それぞれが、7つあるチャクラのうちの5つの周波数に対応しているといわれます。日本語の母音からなるアワ(天地)の歌というのがあって、これを口にしていると、チャクラが活性化して、体が整い、元気になるという話もあります。試しにやっていると、そう思いなすせいか、気感が高まるような気がしますし、やはり体の中の音階のようなものを感じたりします。
体を楽器、オーケストラにする!
では、この五臓小煉形はどうかというと、五臓というだけに、チャクラというよりは当然、五臓に焦点を当て、それも東洋医学の経絡、経穴に働きかけながら、該当の部位に手を当てたりして行ないますから、声音の振動とも相まって、そこの箇所の温かみが増幅され、関連する経絡にも響いて、気感が高まる感覚があります。
しかも、三番目になりますが、その温かみを功後導引で体全体に広げることをするので、いわば楽器の質を高めるのにもよさそうな気がします(気がするばかりの話で、スミマセン)。
張先生が、講習のなかで、功後導引も含め、動作、呼吸、音楽(吟唱)を、それぞれ別の物として切り離して行なうのでなく、全てセットにして実習することの必要性を力説されていらっしゃいましたが、確かに、その大切さを実感しているところです。五臓を通してやれば、張先生が仰るように、まさにオーケストラということにもなるのでしょう。
四番目に、とくに腎臓小煉形においてより感じるのですが、上記のように、吸って吐いての呼吸に意識を集中し、深くやっていくようにすると、その分、雑念が減り、湧きにくくなる感覚があります。最近、マインドフルネスといって、今、この瞬間に意識を集中する瞑想法が話題になっていますが、あるいは、このマインドフルネスの感覚に近いものなのかもしれません。マインドフルネスといえば、今から30年近く前、前職でこのマインドフルネスをテーマにした翻訳出版の編集に携わった経験がありました。その意味でも、今回こういう感覚が得られたことで、大変懐かしい気がしました。
「道在身中」
以上、あれこれ勝手なことを並べましたが、実際にやってみれば、確かに体が軽くなり、温まりますし、心もどこか落ち着く感覚があります。五臓の音符をして太極拳をすると、より気感も強く感じます。これは、多分、自分にとって、好ましい反応だと思っています。
昨年、張先生は、持参した『五臓的音符』の中表紙に「道在身中」という言葉を直筆でサインしてくださいました。そう、これからも、自らの体を大切な拠りどころとして、反応をよく観察、直視しながら、煉功をしていけたらいいな、と念願しているところです。
最後に、講師の張明亮先生と、今回の講習の機会を設けていただいた峨眉養生文化研修院の皆様に、この場を借りて、改めて感謝申し上げます。