アトピー、眼瞼下垂で困っています……(続)

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アトピー、眼瞼下垂続画像

前回の施療から5か月後、またもや症状がぶり返し、アトピーと眼瞼下垂に悩まされることに……

<アトピーと眼瞼下垂の症状がぶり返した……>

該 当 者: 20代 女性
該当部位: 顔から首にかけて
訴  え: 首がかゆい、瞼が上がらない……

<見立て~施療>

前回012より続く

⇒ アトピー、眼瞼下垂で困っています……

環境変化から、症状がぶり返す

前回から5か月ほどして、三度目の来院。お話を伺うと、前回の施療の後、入浴できるようになり、湿疹とかゆみの箇所も少なくなってきた。毎日2時間の足湯に加えて、新たにリンパマッサージを自分でするようにした。それも良かったと思う。ところが、2か月ほど前から首のかゆみが増してきて、そのころ撮った顔写真を見て気づいたのだが、頬からあごにかけて頚のラインに湿疹が写っていた。それと、右手首甲側の湿疹は、治ったと思ったら、また出るを繰り返していて、やはりかゆい。右目元に隈が目立つほか、左目はまぶたがまた重くなり、上がりづらくて困っている、とのこと

何か環境の変化とか思い当たることはありませんか、と尋ねると、ちょうどその頃、前の仕事を辞めて転職活動をしていた、とのことで、あるいは、そうしたことが心身に影響を与えたのかもしれない。幸い、仕事のほうは、今はもう落ち着いているとのことだった

例によって、立位で体の観察チェックをすると、頭部と肩、脊柱、股関節部、膝等に気の詰まりが窺える。右肩が上がり、左足重心に。リストでのチェックでは、肺・大腸経と腎・膀胱経、脾経に問題が。比較をすると、脾の影響が大きそうである。チャクラは、1番から5番にかけて異常回転し、とりわけ3番が強い。腹部観察では、右肺と心、肝胆、脾、腎・膀胱、大腸に変調が感じられる

右の耳が影響部

FT(フィンガーテスト)では、右の耳が影響部と出た。試しに、右の耳穴にエネルギー的に補の調整を施すと、左足重心が是正され、姿勢が安定

仰臥位にて、右耳とその周囲を軽く触察したところ、側頭骨乳様突起と胸鎖乳突筋のラインにかけて圧痛がひどい。リンパの流れを念頭に置きながら、やさしくほぐしていったところ、左の目が楽になり、目が開くようになってきたとの本人の弁。眼輪筋など目の周囲の皮膚の動きをみると、左目は下と左下に、右目は下と右下に動揺。顔面部のコワバリも強い。アメジスト(紫水晶)を補助的に用いながら、手技で偏りを調整、ほぐし

頚、頭頂部、側頭部、後頭部をていねいにほぐしてから、後頭部に手当。本人、眠り始める。しばらくして、本人、頭がとても軽くなって、気持ちがいいとのこと

気の逆流を調整

続けて、右脚、左脚のほぐし。両足裏、足首ともこわばり強い。足裏ほぐし、足首回し、脚回し、脚伸展。右脚については、脾経のライン、公孫、商丘、三陰交にかけてと、陰陵泉から血海にかけて気が逆流しているのを調整。これにより、膝上にあった胃経の梁丘付近の圧痛が取れる。左脚は、脾経の漏谷から陰陵泉、血海にかけて気が逆流。これを調整すると、左脚の付け根がほどけて、左膝が内に入り込むのが取れてくる

腸骨が固く内への可動性に欠けるのを調整。腹部は、右肝臓部ほか臍の右、恥骨上部などにある圧痛箇所を、シトリン(黄水晶)でほぐし。胸部圧痛箇所のほぐし。左右両側の鎖骨部、肺経中府、雲門の圧痛を、肺経井穴の少商、尺沢のほか、大腸経の合谷、陽谿、偏歴を使って除去。両腕と脇部をほぐし

再度、顔面部、後頭部を調整して、終了

術後のチェックでは、当初あった体各部の変調も、あらかた解消。肌艶は一見して良くなる。本人も体が軽く、何もかも楽になったと明るい笑顔で語ってくれた

よくなれ、トントン

2週間後、4回目の来院。早速、その後の様子を伺ってみると…

全体的にかゆみが減り、楽になった。右肘の内側部分や右手甲の部分も、かゆみは、だいぶん無くなった。先生から言われたように、よくなれ、よくなれ、とトントンしていたら、目に見えて良くなってきて、彼氏も、へぇ~、そんなことあるのかと、びっくりしていた。首が乾燥してきて、突っ張り感がなくなった。眼瞼下垂のほうは、右目はパッチリし、重みがなくなった。ただ、左目はまだ少しある、とのことだった

「よくなれ、よくなれ……」というのは、前回の施療中に彼女に、もし体を動かしていて、つらいとか、重苦しいとか、変だな、と異常に感じる箇所があったら、それは体が、何かおかしいですよ、って、親切に知らせてくれているのだから、そのことに感謝して、まずは、その異常を感じた箇所の細胞さんに、教えてくれてありがとう、って御礼を言って、軽く、軽く、指先でトントンするとか、さするとか、手を触れるとか、よくなれ、よくなれって、心を込めて伝えたほうがいいよ、そうすると、細胞さんもそれに応えてくれて、結構、効果があるから、と話をしたことを指している。どうやら彼女はそのことを憶えてくれていて、実践してくれたようである

ホ・オポノポノに習って…

実際、私たちは、何か異常があると、その箇所に対し、なんで、痛いんだ、苦しいんだ、困らせるんだ…、とその箇所の所為にして攻撃しがちだ。果ては、悪いところは切り捨てよう、つらいところは感じなくてすむようにしよう、みたいな発想になることすらある。でも、それはどうなんだろうか……。その箇所につらい思いをさせている張本人は自分なのだから、そのことを素直に詫びて、「御免なさい、許してください、気をつけますから、愛してますよ」って伝えたほうがいいと思うのである。スピリチュアルなことに関心をお持ちの方ならもうおわかりだと思うが、これは「ホ・オポノポノ」の精神に習ったものである(ホ・オポノポノについてお知りになりたい方は、是非、ネット等で調べてみてください)

細胞に酸素と栄養を届ける

事実、ニコニコ太一気功のサークル中にも、このことは結構口に出してお伝えするようにしている。もし体を動かしていて、どこかに気になる箇所があれば、そこを軽くトントンするとかさするようにしてほしい、と。すると、それだけで、気になる箇所が、即効で、軽くなったり、楽になることが少なくない。というのも、これは単に気分の問題だけでなく、体の動きが悪いとかどこかに制限を感じるというのは、基本的に血流が悪いからで、その場所の細胞が本来もらうべき酸素と栄養を十分に供給してもらっていないということでもある。それを軽くトントンしたりすることで、細胞のコワバリや関節の詰まりをときほぐし、そこに酸素や栄養を届けようという試みなのである。体験を通して言うと、これは確かに効果が実感され、動きやつらい箇所が楽になったりする。ただし、その効果は永続するものではなく、放っておくと、また元に戻ってしまう。それでも根気よく続けていくと、いつしか正常な状態に復してくれるものである

操体法で気持ちのいいほうに動かす

間違ってもやってほしくないのは、動きが悪いからといって、がむしゃらに、力でもって動きの悪いほうに動かそうとすること。そうではなくて、動きのいいほうにまずは繰り返し繰り返し体を動かして、少々そちらの方向に動かすのにくたびれてきたら、試しに反対の(動きの悪い)方向に動かしてみる。そうすると、結構てきめんに動きの質が改善されていることに驚いたりする。これは「操体法」の原理に習ったものである。基本は、自分が快感に感じるほうに体を動かすということである(操体法についてお知りになりたい方は、これも、是非、ネット等で調べてみてください)

セルフケア・プログラムの実習

ところで、今回の来院は、彼女から希望したものではなく、こちらから声をかけて来てもらった。というのは、毎日する足湯の2時間に何をしているのかを尋ねたところ、本を読んでいることが多い、という話だった。本を読むというのは、頭を使う行為なので、どうしても頭に気血が行きがちになる。そうすると、せっかく体を足から温めて気血の流れをよくしようとしているのに、それを阻害することにもなりかねない。それよりは、足湯をしながら、もっと体自体を健康に、元気にするために簡単にできる運動療法をする時間に当ててもらいたいと考えた。そのことをお話したところ、大いに乗り気になって、今回の「セルフケア・プログラム」の実習となったのである

セルフケア・プログラムはあらかじめ作成したレシピにしたがって、17種類の簡単な動作を、足湯の際にしてもらうものである。どんな動作かというと、例えば、5本の指を互いに打ち合わせるとか、手首を打ち合わせるとか、手で胸から臍、腰までをさわるとか、丹田をさするとか、そういった簡単な動作の連続である。体を活性するのに適した気功的なやり方をまとめている。足湯を毎日欠かさず実行できる強い意志をお持ちの彼女だからこそ、効果もいっそう上がるに違いないと思った

体がとても温まる…

実習は、基本的な気功運動療法のやり方から始めて、上記プログラムのレッスン、それに眼瞼下垂を予防、改善する気功法のレッスンまで、2時間以上を費やして行なった。やってみて、本人も、体がとても温まっていい、と良さを実感してくれた

このセルフケア実習から2週間ほどして、その成果について、彼女のほうから、報告をもらった。以下は、そのおおよその抜粋である

うれしい報告

「こんにちは。その後、急速に顔の肌が良くなり凹凸、湿疹がほぼない状態にまでなり、驚いています。また、全体的に顔が白く透き通った感じになり、艶も出てきました。できる時はほぼ毎日教えていただいたメニューをこなしています。顔も、綿の手袋を嵌めて指でトントンと叩きながらよくなれ~よくなれ~としていたので細胞に届いたのかな? と思うと嬉しいです。ただ、まだ首のかゆみが消えないので、引き続き食事に気をつけて、毎日教えて頂いたメニューをこなそうと思います! そして今日やっと青竹踏みの竹を手に入れられたのでより強化できそうです! 仕事のほうもいいことがあり、わくわくしているところです。体の調子がよくなったから、周りの環境もうまい具合に回るようになったのかな? と思っています。これから少し忙しくなると思いますが、頑張りすぎないように、楽しみつつ、続けていこうと思います。ありがとうございました。また、いい報告がしたいです」

このようなうれしくもありがたい報告をもらって、彼女の健康の増進とともに、これから先の人生がより充実し、希望に満ちたものであるよう、心から願ったことでした

<考察>自然治癒力が働く体になろう!

アトピーという言葉は、もともとギリシャ語の「場所」を意味するトピアに、否定のアがついたのが語源で、「場違いの」とか「奇妙な」という意味になるそうだ。それこそ、体のあちこちに湿疹やかゆみが出て、かつてはよくわからない「奇妙な」病気と思われていたのかもしれないが、いまは免疫や自律神経とかかわりのある病気として一般的に捉えられている

そんなアトピーだから、単なる皮膚の病気としてみるよりも、体の全身の問題として捉えるのがやはり当を得ているだろう。眼瞼下垂にしてもそうで、単に瞼の疾患として限定的にみるよりも、まずは、全身のなかで何がいま起きているのかという脈絡のなかでみたほうがいいと思う

アトピーにしろ、眼瞼下垂にせよ、体はすべてひとつながりであり、そのつながりのなかで、体全体の調和を乱すことが何か起きて、それが皮膚や目に異変となって現れているのだと思う。だから、逆に言うと、体自体を整体に戻し、調和に導くことをしていくと、自然の治癒力が働いて、不調は癒され、体は健康を回復していく、というふうに個人的には考えるのだが、どうだろうか

 メッセージに代えて(続)
⇒ 自然治癒力とは何か

これまでにも、似たようなケースとして、カサつきやかゆみなどの不調を癒すお手伝いをさせていただいた経験をもつ。今回はそれに眼瞼下垂という症状が加わったわけだが、ある意味自分でも驚くのは、体の不調や症状は、そのつどそのつどいろいろ違えども、やっていること自体に、基本的にそれほど大きな違いはない、ということである。どうしたら、体の歪みや乱れを正し、整え、調和に近づける一助となり得るか、そればかりをさせていただいているような気がする。そして、それがいい結果につながったときは、やはり施療にかかわった者としては、本当にうれしいし、ほっとする思いがする

⇒ お腹と背中がカサつき、かゆくなる……

めんげん反応を乗り越える!

今回の施療で感じたことを、三つほど付記しておきたい。一つは、めんげん反応(好転反応)への対処。良かれと思い、考えてやったことが、案に相違して、一時的にせよ、症状の悪化として現われると、本当にこれでよかったのだろうか、とやはり思い悩むだろし、つらい症状がさらに悪化するわけだから、本当につらいことだと思う

それをどう乗り越えていくか……。決まりきった方式はないと思うだけに厄介さがつきまとうが、それでも、やはり症状そのものだけに囚われず、体全体を良くする、強くするという観点から、いろいろと試してみてはどうだろうか

例えば、これは彼女にも勧めたのだが、ずば抜けた抗酸化力をもち、アトピーなんかにもいいとされる自然の薬草、ステビアはどうだろうか。ステビアは免疫力・抵抗力を体の根幹から増進させてくれるというから、試してみる価値はありそうだ。また、腸内環境を整えてくれるといわれるココナッツオイルや、体を温めるという意味では、蒸しショウガなどもいいかもしれない。自然由来で副作用の問題がなければ、あれこれ試してみていいと思う

⇒ ステビアが凄い、すごすぎる!

二つ目は、体を動かすということ。今回の彼女のケースを通じて思うのは、やはり精神的なストレスが症状を誘発したり、悪化させたりということにつながっているように見受けられる。自分自身ではそうとは思わなくても、体の奥深いとことでは、やはりすごく影響を及ぼしているのだと思う

そんなときどうするかだが、心を改めましょう、考え方を変えましょう、といっても、言うは易く、で、そんなに簡単なことではないだろう。そんなときは、体からアプローチするのがいいと思う。呼吸と合わせて、リズミカルで簡単な動作を繰り返す。そして気の流れや血流をよくするのは、とてもいいことで、それをコツコツと続けることである

⇒ ひとつながりの心と体

三つめは、感謝ということ。筆者にその著作を通じて大きな影響を与えた野口晴哉氏は、こう言っている。「人間が弱かったり、病気になったりすることを何かの所為(せい)にする考え方を改めて、自分が弱いからそれを教えられたのだと、素直に自分の所為にして、そこから吾々の生きる道を出発させたい」「病気は怖いものではなく、人間の体を新しく強くし、むしろ生きている上の安全弁となる」

つまり、本稿でも触れたが、病気が教えてくれているのだと思い、感謝して、そこから自分の健康は自分でつくり、護るんだと、自らを励まし、立ち上がることである。人生には、いろいろな環境変化がつきものである。今日は昨日の繰り返しのようでいて、けっして同じではない。波もあれば風もある。短兵急にはいかない。コツコツと地道に養生を重ねていくことがやはり大切なのだと思う

⇒ なぜ予防重視のサークル活動なのか

今回の事例を通じて、改めて、そのようなことを教えてもらったような気がする