魚の目のようなものが痛くて、歩けない

その体の不調はどこから?見出しボタン画像1 魚の目のようなものが痛くて、歩けない

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なぜ、魚の目状のものが足裏にできたのか? 体の変調をあれこれ探っていくと、やがておぼろげな実像が焦点を結びはじめた……

<痛くて歩けない、うまく立てない……>

該 当 者: 10代 男子
該当部位: 左足の裏
訴  え: 魚の目のようなものができて、固いところを歩くと当たって痛い、うまく立てない。さらには胸と背中に……

<見立て~施療>

前夜にお母さんからお電話をいただいて、すぐにでも見てほしいとのお話。伺うと、足の裏に魚の目のようなものができて痛くて歩けない、うまく立てない、とのこと。刺すように痛いとのお話なので、やはり、芯が皮膚にくさび形のように食い込む魚の目かと思われた。とはいえ、魚の目はひどくなると切開手術が必要になるとも聞いている。過去に施療経験もないので、果たしてお受けしたものか迷った。ただ、この子はこれまでにも数回施療したことがあり、なにより本人自身がまず最初に見てほしいと言ってきかないということなので、それならとりあえずお話を伺うだけでもと、お受けした次第

さらに今回直接伺うと、問題は足にとどまらず、昨夜風呂上りにお母さんが見ると、男の子の胸や背中に、あせも、蕁麻疹のようなブツブツが出ていて、これも気になる、との由

体のいろいろな箇所に変調が

立位でみると、頭部が右前に傾き、骨盤が左に、胸肋部が右に動揺。重心は左脚に。頸、肩、腹部、それに肘、手首、骨盤、膝、足首などの関節各部に変調が窺われる。右大腿外側部、両下腿外側部に張り

経絡的には肺・大腸経、心包経、腎経に、また、チャクラ(人体に7か所あるとされる内分泌センター)では4番(胸腺)、5番(甲状腺)、6番(松果体、視床下部)に変調が窺われる

FT(フィンガーテスト)でみると、心包経がどうやら影響部の模様。右手心包経中衝にユルミがあり、ここを締めると、右大腿外側部、両足の変調がとりあえず消える

気(体内エネルギー)の流れ、体のアンバランスを調整

仰臥位にて、

  • 右手中衝(ユルミ)と左手中衝(コワバリ)を補瀉、すなわちエネルギーの不足と過剰を、調整
  • 左足裏小趾の付け根、中足骨付近にある魚の目状の箇所にあるコワバリを瀉
  • 右腕心包経ライン上の気の逆流部分を調整
  • 右胸郭部のハリをほぐす

結局、右胸郭部のツマリが、右腸骨上辺のコワバリと右大腿部の過緊張を招き、それを回避するために体を左へ回転させて、左脚重心、それも小趾側の付け根付近で体を支えるという姿勢が、左足の魚の目状のものの原因となったのではないだろうか、と推測された

続けて、

  • 左右胸郭部のほぐし
  • 右腹部、右大腿外側部ほぐし
  • 右脚伸展、股関節・膝回し、右足首と足趾ほぐし
  • 同様にして、左脚調整

これにより、大腿外側部のハリと左右下腿外側部の強いハリがゆるみ、左右の腸骨の高さが揃ってくる

さらに続けて、

  • 顔面部ほぐし
  • 圧痛のある左右側頭骨乳様突起、鼻のラインのほぐし
  • 後頭骨調整

その結果、顔と口に見られた歪みが取れ、頸も比較的まっすぐとなる

術後、立ってもらうと、姿勢が目立って良くなり、体の左右バランスが回復。チャクラをチェックすると、これも正常に復する。本人に聞くと、体がとても楽になって軽い、ということだった

<考察> 体全体を「整体」に導く!

結論をいえば、この一週間後、再来院してもらったときに、本人とお母さんに足の状態を聞くと、その後、左足に圧をかけても痛みは感じなくなった、とのことであった。もちろん、これには、問題に気づいた時点で、早期に来院されたことがよかったのだと思う

では、なぜ足裏の局所での痛みが解消されたのか? それは体の捻じれが是正されたことにより、足裏の接地面が一点に集中して圧がかかることがなくなったためだと思う。このように考えると、けっして不思議でもなんでもなくて、至極当り前のことだと思うのだが、どうだろうか

ただ、そのときに合わせて聞いたところでは、腹部、背中にはカサカサが残り、風呂に入るとかゆくなるとのことだった。これについての施療は、稿を改めて紹介することにしたい

いずれにしても、今回の事例でも、足の裏の問題を単に足の裏だけに限定して考えるのではなく、体全体を「整体」へと導くという観点から、施療を進めた。そうでないと、たとえ足の裏の魚の目状のものが一時的に解決されたとしても、今回の原因を形づくっていると思われる体のアンバランスが是正されない限り、再発したり、形を変えて不調が現われることになるのではないだろうか

体を「整体」に導くことによって、人がもともと持っている自然治癒力を引き出す。そうすることこそが、やはり施療の眼目になるのではないかと思う