体があちこち痛い…、どうしたらいいの?

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体がおかしい、なんとかしてほしい、と女性が来院。話を伺うと、背中が痛い、お尻が痛い、両目がかゆい、とあちこちに不調が……

<体のあちこちがおかしくて、困っている……>

該 当 者: 40代 女性
該当部位: 体の複数部位
訴  え: 背中も痛いし、お尻も痛い、目もかゆい、どうしたらいいの……

<見立て~施療>

一週間ほど前に、ある講習があって3日間出かけた。寒い日にずっと坐り放しで、帰りの電車のなかでは変な姿勢で坐っていたためか首がおかしくなってしまった。その後、体調がすっきりしない。ここ数日は背中も痛いし、お尻も痛い、目もかゆい……いったいどうしたらいいのか困っている、なんとかならないだろうか、と言われて来院。いま痛いのは特に、背中の肩甲骨の間と両仙腸関節部、両目がかゆくてたまらないのも気になる、とのこと

立ち姿でみると、一見して、首と肩が右方向へ行き、肩は左が上がり、右肩が下がった状態になっている。セーターの下のラインが右上がりになり、重心は明らかに右足に

重心を移すと目が楽に

そこで、試しに重心を左足に移して立ってもらったところ、なんとそれだけで目のかゆみが減ったと言う

なぜ、目が楽になったのか? この女性をまねて同じような姿勢をとってみると、右肝臓の部位に圧がかかるのがわかる。この部位には東洋医学でいうところの肝経絡が走り、章門、期門という重要な経穴が並ぶ。ちなみに、この二つの経穴は、肝臓疾患の際に用いられるツボでもある。そして東洋医学では、目に生じる異常は、肝経絡と関連が強いとされる。ということは、重心を右足から左足に移したことで、この部位への圧が減り、肝経の機能が是正され、目のかゆみの減少につながったのではないかと推測される。また、重心の移動で、頸と後頭骨の間に見られたラインのずれもある程度修正されたことも、目の変化に影響しているのかもしれない

別のところがつらくなる

しかし、問題はさらに先があり、なぜ右足重心の姿勢をとっていたか、である。左足重心にすると目は楽になるのだが、そうすると本人は、左腰と右仙腸関節部に嫌な感じがして、とてもつらいのだと言う

先に立位でみたときに、左足の部位に変調が感じ取られていたので、その部位に何か感じられるか聞くと、そういえば、昨日、左足の小趾側が痛くて変だなあ、と思っていたとの由。FT(フィンガーテスト)でみても、やはりこの場所が影響部であると出てくる

全身調整で姿勢が整う

そこで施療は、まず仰臥位で、左足裏と甲のほぐしから始め、左膝、左股関節へと進めた。とくに左脚大腿外側部から臀部にかけてはハリが強いため、側臥位で臀筋周りを軽い圧で丹念に調整、ほぐし。同様にして、右脚を施術。右脚では股関節と大腿内側部、さらに膝裏にハリが強く、これらをていねいに、足首、足先も含めて調整。続けて、胸部、胸郭部をほぐし、調整。この結果、本人曰く、肩、首が楽になったとのこと

次いで、伏臥位で、これも軽い動作の誘導で、下半身をほぐし、調整。背中の左肩甲骨内側、右腰のハリ、右仙腸関節と尾骨左のハリをていねいにほぐし、調整。その後、後頚部→後頭部→顔面部と進める。顔面部の調整では、額部分が張りついたように固く、額を頭頂方向に他動的に引き上げると、頭の中の中央部に違和感が生じるとの話なので、口を開けてもらい、軽く調整していったところ、それも解消した

術後、本人の弁では、体が軽くなり、脚が上がりやすく、すっと動く、腰やお尻、背中も全然違う、とのこと。見た目でも、顔色が良くなり、唇も健康的なピンク色に、目も大きく、チャーミングな顔立ちになった

<考察> 体の不調の原因は、多く、姿勢のゆがみから

体の不調の原因が、姿勢のゆがみからきていることは非常に多いように思う。今回のケースもその端的な例といえるが、案外、当事者はそのことに気づいていないようである。傍からはよくわかる体のゆがみが、本人には(自分で自分の体の全体が眺められない以上、ある意味、当り前かもしれないが)見えておらず、背中が痛いとかお尻が痛いとか、目がおかしいとか、症状のほうばかりに意識が行って、いったいどうしたのだろうか、と不安に恐れおののいてしまう

だから、日頃から、自分の体の姿勢がどうなっているか、注意を払うことは、とても大切だと思う。立ったとき、重心はどちらの足にかかっているか、左右の肩の上がり下がりや向きはどうか、腕の長さや肘の位置はどうか、膝の向きはどうか、足先はどちらを向いているか、などなど、細かな点に注意の目を向けると、自分の体がいまどうなっているのか、何か発見があるかもしれない。そして、気になる箇所があれば、それはなぜ、そうなっているのか、いろいろ考察してみるといいと思う

そうして、自分で自分の体を客観視できるようになると、症状の元にある自分の体の実態に気づき、それに応じて、症状を自ら緩和する方策も見えてくる可能性がある。そんな体へのセンサーをしっかり養い、自分で自分の健康を護り、育てていけるようになりたいものだと思う

ちなみに、この辺のことについては、本サイトの次の項でも述べているので、こちらもご覧いただければと思う

⇒ 気功・整体学校の3年間で学んだこと

また、姉妹サイトの「ニコニコ太一気功」では、姿勢について、以下のコラムで簡単に触れているので、よろしければ、こちらも併せてご覧ください

⇒ 姿勢美人と中心力

なお、今回と似たようなケースに、背骨の側弯についての事例がある。そこで、次回は、この例について紹介してみたいと思っている